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レコメンド活用がECサイトを伸ばす!基本から具体的な施策まで解説
ECサイトの「レコメンド」とは、ユーザーの好みなどに合わせて商品をより効果的におすすめできるシステムです。どういったものかという基本の確認から、特徴別の種類、導入時の確認ポイントなど、自社施策に活かすための実践的トピックまで詳しく解説。レコメンドでECサイトを伸ばしたい運用担当者はお読みください。
更新日:2024/10/25 公開日:2023/02/02
レコメンド活用がECサイトを伸ばす!基本から具体的な施策まで解説
ECサイトの運用は、いまや多くの企業にとって一般的な戦略の一つになってきています。ECサイトの売上を伸ばしたいと思っている企業は多いでしょう。その戦略の1つとして、顧客に「レコメンド」が注目されています。
しかし、
「自社サイトに導入する方法が分からない……」
「そもそもレコメンドがどういうものか、よく分かっていない」
と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事は、レコメンドについてまだあまり詳しくないという方にぴったりの記事です。
そもそも「レコメンド」とは何かという基本知識を抑えた後で、仕組みや種類、メリット・デメリットなどについて説明していきます。
さらには、実際に貴社で導入したいとなったときにチェックしておくべきポイントなど、実践的な視点についても知ることができます。
レコメンドを活用して貴社のECサイトを伸ばすために、ぜひお役立てください。
目次
ECサイトで使われる「レコメンド」とは?特徴を確認
そもそも「レコメンド」とは、顧客の購入や閲覧といった行動履歴などから顧客の嗜好やニーズを把握し、その顧客にマッチした商品を提案する機能です。レコメンド機能をもったシステムは「レコメンドエンジン」とも呼ばれます。
種類についてくわしくは後述しますが、「商品のカテゴリーや特徴」によってレコメンド商品を決めるもの、「ユーザーの特徴」によってレコメンド商品を決めるものなど、レコメンドを決める仕組み(アルゴリズム)によっていくつかの種類に分かれます。
レコメンドを活用することでユーザーごとに最適化した提案ができるため、
・商品の売上アップ
・顧客満足度の向上
・リピーター率の向上
・ターゲティングの最適化による広告費の節約
といったメリットを得ることができます。
レコメンドの分かりやすい例としては、下記の診断コンテンツ「りっすのおやつカウンター」が挙げられます。
こちらのコンテンツは、株式会社スナックミーのECに設置されています。スナックミーは、100種類以上のおやつを定期便で提供するサービスを展開している企業です。
「りっすのおやつカウンター」では、好みや苦手な食材、アレルギーの有無などを質問し、寄せられたデータを元にユーザー一人ひとりにマッチしたレコメンドを行い、顧客満足度を向上させています。
なお、診断コンテンツについては後ほどくわしく紹介します。
レコメンドエンジンの主要な機能を仕組み別に紹介
レコメンドエンジンは、仕組み別に主に次の5つの種類に分けられます。
1. ルールベースレコメンド
2. コンテンツベースフィルタリング
3. 協調フィルタリング
4.ハイブリッド型レコメンド
それぞれ詳しく確認していきましょう。
ルールベースレコメンド
「ルールベースレコメンド」はもっとも基本的なレコメンド方法で、ショップ側がおすすめしたい商品を紹介する仕組みです。季節限定品やセール品などのレコメンドに多く用いられます。
コンテンツベースフィルタリング
「コンテンツベースフィルタリング」は、デザインや種類、色、カテゴリーといった商品の属性によるフィルタリングです。ユーザーが閲覧や購入をした商品と類似する商品を提案できます。
例えば、ECサイトで本を購入した場合には、それとジャンルや著者、出版社が似ている本が「こちらも合わせて見てみる」といった形で紹介されます。
協調フィルタリング
協調フィルタリングは、ユーザーの購入履歴やアイテムの評判などを利用して、類似のアイテムを推薦する手法です。
商品に主眼を置いたもの(=アイテムベース)と、ユーザーのタイプに主眼を置いたもの(=ユーザーベース)に区別されます。
まず「アイテムベース」は、顧客が過去に購入したアイテムと、他の顧客が購入したアイテムの類似性をもとにレコメンド商品を決めます。「この商品を買った人はこの商品も買っている」といった形で表示されます。
次に、「ユーザーベース」は、顧客同士の類似性をもとにレコメンド商品を決定します。例えば、「この人はこんな商品を好んで買っているから、この人にはこんな商品が合うかも」といった具合です。
ハイブリッド型レコメンド
「ハイブリッド型レコメンド」は、上記の複数のレコメンド手法を組み合わせた手法です。
例えば、コンテンツベースフィルタリングとユーザーベースの協調フィルタリングを組み合わせることで、顧客が過去に購入したアイテムと類似しており、似たようなユーザーが買っている商品をレコメンドすることができます。
ECサイトにレコメンドエンジンを活用するメリット
レコメンド商品を決める仕組みのイメージがつかめたところで、レコメンドエンジンを利用するとどのようなメリットがあるのかを確認してみましょう。ECサイトにレコメンドエンジンを導入することで以下のような効果が期待できます。
商品購買率の向上
商品をレコメンドすることでユーザーが目にする商品が増えるため、単純に商品の選択肢が増えます。さらに、それがしっかりとそのユーザーのニーズや探していた商品と合っていた場合には、当然購入率も上昇しやすくなります。
顧客1人あたりの購入額が増加
レコメンドエンジンの強みは、一度きりのサイト訪問の中だけで発揮されるものではありません。ユーザー1人あたりの購入金額(LTV=顧客生涯価値)を増加させる効果も期待できます。
過去に購入した商品を定期的に購入したり、これまで見つけたことがなかった商品を新たに発見させたりすることもできます。サイト自体を気に入ってもらえれば、より頻繁にサイトを訪れるようになったり、現在手にしている商品よりも高額な商品を買ってくれるようになるかもしれません。
顧客対応のレベルを高く保ちやすい
商品をレコメンドすることはECサイトを運営する側だけでなく、ユーザーにとっても大きなメリットがあります。自分がほしい商品をピンポイントで見つけやすくなるからです。「このサイトに来れば欲しい商品がいつでもすぐに見つかる」「趣味に合うトレンド商品をいちはやく知れる」といった印象を抱いてもらえれば、顧客満足度は向上しやすくなります。
また、人間のオペレーターではなくシステムが対応するため、対応品質が安定しやすいというメリットもあります。
継続利用につながる
レコメンドエンジンの活用は、ユーザーのエンゲージメント向上をうながします。興味のある商品が多く取りそろえられているサイトは長時間閲覧していても楽しめますし、「あなたの肌質に合った化粧水は?」などといった診断コンテンツに熱心に取り組んでくれる場合もあります。
レコメンドを取り入れることにより、商品の価値だけでなく、そのサイトで商品を探す行為自体をユーザーが楽しんでくれるようになり、サイトそのものが特別な存在になります。
ユーザーに第一想起される存在として、継続利用してもらえるのです。
ユーザーをより楽しませるための工夫として、以下の点を意識すると効果的です。
・カスタマイズ性: ユーザーのニーズに合わせて個別にカスタマイズできる
・データのクオリティ: データのクオリティが高いほどレコメンドの精度は高くなる
・インターフェイスの改善: シンプルで親しみやすいインターフェイスにする
・リアルタイム性: 可能なかぎり最新の情報に基づいたレコメンドを行う
・フィードバック: レコメンドに対する顧客からのフィードバックを受け付ける
ECサイトにレコメンドエンジンを使うデメリットと注意点
メリットとは反対に、デメリットや注意点も存在します。「レコメンドを入れれば良いことばかりだと思ったのに期待した通りの成果を得られなかった…」とならないように、あらかじめ慎重に確認しておきましょう 。
コールドスタートとなりやすい
「コールドスタート」とは、機械学習に関連して用いられる言葉で、学習データの量が十分でない稼働初期には望む成果を出せないということを意味します。レコメンドの精度はどうしてもデータ量に依存するため、初期には精度が劣ります。映像判別システムなどであれば、事前にデータセットを学習させることも可能ですが、 EC サイトでのレコメンドエンジンはサイトユーザーからデータを取得できて初めて稼働するため、コールドスタート状態でのリリースとなってしまう場合があります。
ニッチな商品には向かない
前述のとおり、レコメンドエンジンはデータ量に依存するため、ニッチな商品、マイナーな商品に対しては不向きな場合があります。ニッチな商品は需要が少なく、ユーザーの行動履歴データが蓄積されにくいためです。データが不足していて精度の高いレコメンドができない状態は「少カバー問題」と呼ばれます。
予算がかかる
中規模以上のECサイトに外部のレコメンドエンジンを導入すると、通常は費用がかかります。
料金体系はいくつか区分があり、初期費用のほかに「固定費用」、レコメンド経由で購入された場合の「トランザクションベースの手数料」の2つのパターンに分かれていることが一般的です。
・固定費用
固定費用は、一定の料金を月額または年額として支払う方式です。長期にわたって使用する場合には、従量課金よりも経済的となりやすいです。
・トランザクションベースの手数料
トランザクションベースの手数料とは、利用する際に使用量に応じて料金が発生する料金体系です。APIコール数やデータ量などに応じて料金が発生します。利用量が少ないECサイトリリース初期などにおいては経済的であることが多いです。
担当者の工数がかかる
経済的なリソースの他に、運用担当者の人的なリソースも必要です。具体的には以下の工程において負担がかかります。
・導入: 導入の際にタグを埋め込むなどの作業が必要(くわしくは後述)
・システムのチューニング
・運用結果の評価: レコメンドが最適になされているかを分析・評価して、改善につなげる
ほかのアプリと連携できない場合がある
ECサイト内でレコメンドエンジン以外にもツールを使用している場合、注意が必要です。ツール間の相性によって連携ができない場合があります。連携がうまくいかない可能性があるのは、たとえば以下のようなときです。
・データフォーマットが異なる
・ECサイトとレコメンドエンジンで仕様が異なる:プログラミング言語が異なるなど
・APIが提供されていない: レコメンドエンジンからAPIが提供されていない
・データの量が大きすぎる: ECサイトのデータが大量でレコメンドエンジンが対応できない
・情報セキュリティの観点から連携できない:レコメンドエンジンのプライバシーポリシーに抵触する場合、連携ができない可能性があります。
導入しただけでは活用できない
レコメンドエンジンはただ導入するだけでは効果的に活用できません。一定の知識を身につけることはどうしても必要です。
たとえば、スクリプトタグの埋め込みやツール間でAPI連携をおこなうには、プログラミングやサイト構造に関する知識が必要でしょう。また、ユーザーにとって快適なインターフェースを表示するには、サイトデザインについても知る必要があるかもしれません。
何をどこまでやらなければいけないかはレコメンドエンジンの種類にもよりますが、少なくとも「導入して放っておくだけでECサイトに良い変化がある」というわけではない点に注意しましょう。
レコメンドエンジンを導入する際の確認点
上記のとおり、レコメンドエンジンはただ導入すればよいというわけではありません。
いくつかの点を確認してからでないと、機能を十分に活用できなかったり、ほかに使用しているツールを阻害してしまうなどの不具合を起こすおそれもあります。
レコメンドエンジンを導入する際の確認点を押さえておきましょう。
導入の目的と戦略をはっきりさせる
ECサイトでレコメンドエンジンを導入する際、導入の目的と戦略をはっきりさせておくことが非常に重要です。
レコメンドエンジンは顧客の属性や購買履歴などの「データ」にもとづいてレコメンドを行うため、データを扱うアルゴリズムが導入目的に合っていない場合には、望む効果が得られません。
例えば、商品の販売促進を目的とする場合は、購入履歴に基づいたアルゴリズムが向いていますが、ブランドの認知度を上げるためには、顧客の属性に基づいたアルゴリズムが望ましいでしょう。
目的を明確にすることで、成果を測る指標や分析項目がより具体的になるため、効果測定と改善の精度も高まりやすくなります。
なお、ECサイトにレコメンドエンジンを導入する目的には、以下のようなものが考えられます。
・売上の増加
・商品の認知度向上
・「合わせ買い」の促進
・顧客の離脱率改善
・顧客のエンゲージメント率の向上
・機能の強化(商品検索機能の強化など)
運用にかかるリソースを確認する
レコメンドエンジンの活用には金銭的コストと人的コストが発生します。また、デメリットとして説明したように、導入初期はコールドスタートとなり望む成果を出しづらいため、成果が出てくるまでの期間を許容しなければなりません。事前に使えるリソースを確認しておきましょう。
特に、人的リソースは見落としがちです。最低限必要な担当者として、以下のポジションは確保しておく必要があります。
・導入プロジェクトのリーダー: レコメンドエンジンの導入の戦略や計画、リソースの管理などを担当
・データサイエンティスト: レコメンドエンジンに必要なデータを収集、整理、分析
・プログラマー: レコメンドエンジンを導入するために必要なプログラミングを担当
・運用・保守担当者: レコメンドエンジンを運用し保守する
・マーケティング担当者: レコメンドエンジンのターゲティングとレコメンドは適切かをマーケティングの観点から管理
ほかのツールとの相性を確認する
導入した後で「他のツールとの相性が原因でレコメンドエンジンを期待どおりに使えない…」となってしまわないよう、レコメンドエンジンのベンダーに問い合わせるなどして、以下のポイントは事前に確認しておきましょう。
・レコメンドエンジンが提供するAPIとECサイトのシステムが互換性があるか
・トラブル時のサポート体制はどうか
ベンダーがテスト環境を提供している場合は、実際に他のツールとの連携がうまくいくか試してみるとより安心です。
診断コンテンツがおすすめ
レコメンド活用の打ち手がまだ具体的に決まっていないならば、「診断コンテンツ」がおすすめです。診断コンテンツの概要とおすすめする理由についてお伝えしていきます。
診断コンテンツとは
「診断コンテンツ」とは、Webサイト上でユーザーに質問をし、その回答に基づいて診断結果やおすすめの商品を提供するコンテンツのことです。
下の「たった3分の美容分析」は、診断コンテンツを用いて商品レコメンドに成功しているトリコ株式会社の例です。ユーザーに向けて美容や健康に関する質問を投げかけ、回答を通じて、理想と現状のギャップを認知。その上で、診断結果ページとしてそのユーザーに合ったおすすめのサプリをレコメンドします。
日ごろ屋外にいる時間や睡眠時間、運動習慣、美容対策など、詳細な分析項目を設けることで、精度の高いレコメンドを実現しています。
診断コンテンツがおすすめな理由
診断コンテンツがおすすめな理由は3つ挙げられます。
1. 商品の種類やメディアの形態問わず幅広い場面で使える
2. パーソナライズされた、より効果的なレコメンドができる
3. 商品の強みをしっかり理解してもらえる
診断コンテンツは、自社サイト、ECサイト、店舗などさまざまなメディアで使用することができます。自社サイトやECサイトでは、顧客のニーズを把握しもっとも適した商品を提案を個別に提案できるでしょう。店舗では、顧客のニーズを把握し、まずはアドバイスや商品の試用につなげてみるのもよいかもしれません。
また、診断コンテンツは、アンケートや質問票などを通じて現状と課題を明確に認識させやすくします。問題点を把握した上で商品を提示されるため、いきなりおすすめされた場合と比べて、商品の強みを理解してもらいやすくなります。
まとめ
記事を通じて、レコメンドエンジンが「顧客の行動履歴や質問への回答などから顧客のニーズを分析し、顧客ごとにマッチした商品を提案する機能」であることを確認してきました。
さらに、仕組み別に、
1. ルールベースレコメンド
2. コンテンツベースフィルタリング
3. 協調フィルタリング
4. ハイブリッド型レコメンド
の4種類に分けられ、それぞれ特徴や使い分けがありました。
記事の最後では、レコメンドエンジン活用の打ち手として診断コンテンツが有効であると紹介しました。
レコメンドエンジンについての知見に富むピクルスなら、クライアント様の商材の強みが適切に顧客に伝わる診断コンテンツを作るためのアドバイスが可能です。レコメンドエンジンを使ってECサイトを伸ばしていきたいとお考えの方は、ピクルスの提供する診断作成ツール、「ヨミトル」をご検討ください。
レコメンドにおけるヨミトルの活用事例はこちら
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