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BtoBコンテンツマーケティング戦略の立て方【効果を出すための9ステップ】
コンテンツマーケティングを行う際は、全体像を把握したうえで戦略を立てることが重要です。マーケティング施策の全体設計、KGIとKPIの設定、ペルソナの設定など、成果を出すために必ず抑えておくべきコンテンツマーケティング戦略作成の9つのステップについて解説します。
更新日:2024/11/12 公開日:2023/04/03
監修:中山順司(なかやまじゅんじ)
コンテンツリエゾン
SEO・ソーシャル・動画の3領域でのコンテンツ企画と制作が得意な生粋のコンテンツクリエイター。ソフトバンク、楽天トラベル、SixApart、freee、ファベルカンパニーを経て2024年に独立。コンテンツマーケティングを専業とし、オウンドメディアとYouTubeの設計/企画/執筆/編集/分析/改善/SEOを幅広く行う。Web担当者Forum、MarkeZine、ねとらぼ、WorkshipMAGAZINE等で執筆しつつ、ContentMarketingAcademyでは特任講師を務める。
コンテンツマーケティングを行う際は、全体像を把握したうえで戦略を立てることが重要です。
今回の記事では、コンテンツマーケティング戦略における重要ポイントとして、マーケティング施策の設計、KGIとKPIの設定、ペルソナの設定などを解説します。9つのステップでコンテンツマーケティング戦略の立て方を解説するので、参考にしてください。
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目次
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、顧客が求める情報(コンテンツ)をオウンドメディアやSNSを通じて発信し、自社やメディアのファンを増やして、認知拡大とリード(見込み顧客)獲得に繋げる取り組みを指します。特徴を表にまとめると、以下のとおりです。
コンテンツマーケティングを行うことで、顧客との関係性を深め、信頼を獲得し、専門家としてのブランドイメージを確立することが可能になります。そして、顧客の長期記憶に留まるようになり、購入検討の際に第一想起されることが期待できます。
これによって、コンテンツマーケティングの目的である購買へと繋げることができるのです。
コンテンツマーケティング戦略が必要な理由
コンテンツマーケティングを実践するにあたって、BtoBマーケティング全体の流れを見極め、どの施策を実践するのか決定し、人員・資源・予算の配分を決めること、つまりコンテンツマーケティング戦略が必要です。
コンテンツの種類はブログ記事やホワイトペーパーといった文章、インフォグラフィックや図表などの画像、製品デモや導入事例などの動画、さらにはポッドキャストやウェビナーといった音声など、様々な形式があります。さらに、これらを配信するプラットフォームも、自社ウェブサイトや各種SNS、専門メディア、メールマガジンなど多岐にわたります。
この多様性ゆえに、無計画に配信すると、的外れなコンテンツ制作に時間と予算を費やしてしまうリソースの無駄遣いや、統一感のないメッセージによるブランド価値の低下といった一貫性の欠如が生じる可能性があります。また、効果測定が困難になり、投資対効果が不明確になるというROIの低下や、顧客ニーズからずれたコンテンツによる信頼性の低下といったターゲット顧客とのミスマッチも起こりかねません。
これらのリスクを回避し、効果的なコンテンツマーケティングを実現するためには、包括的な戦略が必要です。具体的には、短期・中長期の具体的な数値目標を設定する明確な目標設定、ペルソナ設定や顧客ジャーニーマップを行うターゲット顧客の分析、テーマや形式、頻度を決定するスケジューリング、各プラットフォームの特性を活かした配信計画を立てるチャネル戦略が重要です。
コンテンツマーケティング戦略の立て方、実施手順
コンテンツマーケティング戦略を作成する9つのステップの概要は、以下の表のとおりです。
これらの9つのコンテンツマーケティング戦略の手順について、解説します。
1. 全体設計
最初に行うべきことは、コンテンツマーケティングの全体設計です。以下の4つのステップで全体の流れを整理します。
1事業戦略の確認
自社のサービスや事業の目的、収益モデル、コスト構造を確認します。この段階で、事業目的から「コストを掛けてでも売上を伸ばす」「利益率の向上を図る」「コストを抑えた運用を行う」といった大まかな施策の方向性を検討します。
2課題の整理・構造化
事業戦略に基づいて、KGI・KPIの数値目標を検討します。また、マーケティングやセールスにおける課題の抽出を行い、KGIを達成するために解決すべき本質的な課題を見つける必要があります。
3マーケティング施策の検討
数値目標の達成や本質的な課題が解決できるようなマーケティング施策の検討を行います。詳細な施策の検討は後のステップで行うため、「検索エンジンからの流入を増やすために、コンテンツを自社サイトに作成する」「新規リード獲得のために、Web広告の予算を増やす」といった粒度で検討を行います。
4運用体制の検討
実施するマーケティング施策を検討した後に、誰がその業務を担当するのか、社内で行えない場合はどの企業に依頼するのか、といった内容を検討します。最終的な効果測定についても、どのように行うかこの時点で考えておくと良いでしょう。
2. KGIとKPIの設定
コンテンツマーケティングの全体設計にて検討した、KGI・KPIをコンテンツマーケティングの各施策にまで落とし込みます。
KGIを「商品Aの年間売上1億円」と設定した場合のKPIの設定例は、以下のようになります。
このように、各マーケティング施策での目標数も設定することで、「目標を達成するために、どのような施策を行えばよいか」という視点が強まるため、実践的な計画の策定が可能になります。
KGI、KPIの設定手順については、以下の記事で詳しく解説しています。
いまさら聞けないKGIとKPI|マーケティングにも使える設定手順を解説!
3. ペルソナの設定
ペルソナを設定することで、以下の4つのメリットがあります。
1.顧客視点の真のニーズを把握しやすくなる
2.効果的なカスタマージャーニーマップの作成が可能になる
3.ペルソナに基づいたコミュニケーションにより、一貫性のあるブランドイメージの構築が可能になる
4.部門間の認識が統一され、社内コミュニケーションが円滑になる
ペルソナを設定せずに、セグメンテーションとターゲティングだけでマーケティング施策を推進すると、本質的な顧客ニーズまで掘り下げることが難しくなるリスクがあります。そのため、ペルソナを設定し、実在する一人の人物をイメージしてコンテンツマーケティングの施策を検討することが重要です。
ペルソナの設定について、詳しくは以下の記事で解説しています。
マーケティングにペルソナを活用する効果とは?よく聞く3大疑問にズバッと回答
4. カスタマージャーニーマップの作成
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを知らない状態から、認知、比較検討、購入、リピートまでの流れにおいて、感情、行動、タッチポイントなどを可視化し、一連の流れにまとめたものです。
前のステップで設定したペルソナが、どのようなタイミングで、どのようなメディアに接触すると自社の製品やサービスの購入につながるのかを検討し、カスタマージャーニーマップを作成します。
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客視点でのマーケティングが可能になるだけでなく、施策改善のスピードアップや関係者間の共有がスムーズになる効果があります。
以下にカスタマージャーニーマップの例を紹介します。このような資料を作成することで、コンテンツマーケティングの全体像の把握が可能となり、次のステップであるコンテンツの検討をスムーズに行えるようになります。
カスタマージャーニーマップの作成について、詳しくは以下の記事で解説しています。
カスタマージャーニーマップとは?陥りやすい3つの失敗と正しい作成手順をご紹介
5. コンテンツの検討
カスタマージャーニーマップで、顧客の購買検討の段階に応じてタッチポイントとして利用するメディアをリストアップした後に、これらのメディアに掲載するコンテンツを検討します。
BtoBマーケティングにおけるコンテンツ例をまとめると、以下の表のとおりです。
この中でも診断コンテンツは、SNSでシェアされやすいだけでなく、ユーザーの回答に合わせて最適化した結果を表示できるため、より有益度の高い情報を提供できます。BtoBにおいても、BtoCにおいても効果的なマーケティング施策です。
マーケティングに使える診断の例としては、下記のようなものがあります。
▼BtoB
・マーケティング課題診断
▼BtoC
・パーソナルカラー診断
コンテンツマーケティングの成功事例を、BtoB、BtoC問わず以下の記事で解説しています。コンテンツの検討を行う際に参考にしてください。
【自社事例あり】コンテンツマーケティングの成功事例【BtoB、BtoC】成功するためのポイントとは?
6. コンテンツ作成体制の検討
ターゲット顧客にアプローチするためにメディアに掲載するコンテンツを決定した後は、それらのコンテンツの作成体制について検討します。
コンテンツマーケティングを継続的に行うためには、コンテンツを安定して提供できる体制を構築することが重要です。そのためには、社内、社外を問わずコンテンツ制作の担当を検討する必要があります。
社内でコンテンツを作成する場合、最初に考慮すべきはマーケティング部門です。四半期から半年単位でコンテンツマーケティングの全体設計を行い、運用方針の決定と運営を行います。
マーケティング部門がコンテンツの作成を担う場合もありますが、リソース不足や顧客を引きつけるだけのネタ不足などの理由で、社内のサービス部門がコンテンツ作成を担当することもあります。ただし、サービス部門の担当者はライティングに慣れていない場合があるため、外部のコンテンツ作成会社と協力して進めることをおすすめします。
さらに、広報部門もコンテンツ作成を行う場合があります。IR対応やコーポレートサイトを運営する立場からコンテンツ作成を行ったり、他の部署が作成したコンテンツの内容チェックを行ったりすることがあります。
社内のさまざまな部署がコンテンツ作成に関わることがありますが、どの部署も通常の業務と並行して作業することが一般的です。そのため、リソースが不足し、作成が滞る可能性があります。このような場合は、外部のコンテンツ制作会社に依頼し、社内で不足しているリソースを補うことをおすすめします。
7. 費用の検討
コンテンツ制作体制の検討まで終われば、その体制でコンテンツマーケティングを実行した際に必要となる費用を試算します。
費用を検討する際には、以下の表に示す内容を明確にする必要があります。
以上のようにコンテンツマーケティングに関わる費用を明確にすることで、経営陣への説明が容易になります。
また、コンテンツマーケティングで成果を出すためには、数年にわたって継続的に取り組むことが不可欠です。安定した予算を確保するためには、経営陣の理解を得ることが非常に重要です。
8. コンテンツ作成
コンテンツ作成に関する費用の検討が終了し、経営陣からの承認を得た場合、コンテンツの作成を開始することができます。
コンテンツ作成には、以下の2つのフェーズがあります。
1認知拡大とリード獲得
このフェーズでは、見込み客となる可能性のある顧客の情報を新規に獲得するための取り組みを行います。SNSやYouTube、ブログなどを活用して認知拡大を行い、メールマガジンの登録やホワイトペーパーのダウンロードを通じてリード獲得につなげます。
参考
【自社事例あり】リード獲得とは?12個の施策と獲得のコツを解説
2リードナーチャリングとリードクオリフィケーション
獲得したリードに対して、リードナーチャリングを行い興味関心や購買意欲を高め、最終的にはリードクオリフィケーションを行って購買意欲の高い顧客を抽出します。
参考
【事例付き】顧客に響くナーチャリングコンテンツの作り方
まずは認知拡大とリード獲得に貢献するコンテンツ作成に取り組み、母数が増えてきた時点でリードナーチャリングにも注力することで、より多くの「購買意欲の高い顧客」を抽出することができます。
9. 効果検証
コンテンツ作成を開始した後は、月次でKPIやマーケティング施策ごとの目標数値の達成状況を確認し、効果検証を行います。
BtoBマーケティングであれば、各マーケティング施策ごとに新規で獲得できた案件数、案件ステータスを確認し、受注数や受注金額の進捗も必ず確認します。
この他に、サイト訪問数、SNSの新規フォロワー数、YouTubeの新規チャンネル登録者数、SEO検索順位といったメディアごとの実績を確認し、定期的に見直しや改善を行う必要があります。
これらの数値は、コンテンツマーケティングを開始したばかりの段階では、長期的な視点で見る必要があります。しかし、四半期単位でリソースの再配分や編集方針を再検討し、次の四半期に向けて新しい戦略で取り組めるように、効果検証を定期的に行うことが重要です。
まとめ
一般的に、コンテンツマーケティングといえば「SEOコンテンツの作成」というイメージがありますが、BtoBやBtoCにおいても診断コンテンツは以下の点で効果的だと言えます。
・短期間で成果が出る
・SNSでシェアされやすい
・ユーザーの興味を引きやすく、有益度の高い情報を提供できる
そのため、診断コンテンツは多くのユーザーに見てもらいやすく、認知拡大につながります。また、診断結果を確認するために情報登録をする場合、リード獲得にもつながります。
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診断コンテンツをはじめとして、様々なコンテンツを活用し、コンテンツマーケティングで成果を出せるように取り組みましょう。今回解説したコンテンツマーケティング戦略作成の9つのステップを参考に、実践してみてはいかがでしょうか。
想定される活用シーン
ライター:土光 宜行(どこう よしゆき)
BtoBマーケター
ヘルスケア業界にてBtoBマーケティングに10年以上従事。この他に、製品開発、営業、パイプライン管理の経験あり。マーケティングの川上から川下まで俯瞰して施策を立案し、実行できる点が強み。