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ブランドストーリーとは?作り方3ステップを企業事例つきで解説【BtoC、BtoB】

強いブランドを構築するためにはブランドストーリーが必要不可欠です。この記事ではブランドとは何か、その中でのストーリーの重要性について説明します。またブランドストーリーの作り方3ステップや、BtoC企業・BtoB企業それぞれの事例もあわせて解説します。

更新日:2024/10/25

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ブランド構築の重要性がさまざまな業種で指摘されています。

その背景の一つとして挙げられているのが、世界的な素材原料の価格上昇です。ブランド力がないと原料価格の上昇分を販売価格に転嫁できないため、利益が圧縮されてしまいさらなる競争力の低下を生んでしまう恐れがあります。

だからこそ、ブランドが注目されているわけですが、一朝一夕で構築できるほど甘いものではありません。この記事ではブランドを構築する上でコアとなる「ブランドストーリー」について、企業事例を含めてその作り方を解説します。

▼ファンを呼ぶファンを作る方法を解説しています!

ブランドとは何か

ブランドストーリーの話の前に、ブランドとは何かについて考えてみましょう。

アメリカマーケティング協会の定義では「ある売り手の商品やサービスが他の売り手のそれと異なるものとするための名前・用語・デザイン・シンボルあるいは他の特徴」をブランドとしています。

この定義の場合、どんな商品でも名前を付けて、それらしいデザインのロゴをつけて販売すればブランドになってしまいます。

しかし、ブランドが持つ意味とは本来それ以上のものです。

ブランドの持つ意味を考えると、ブランド価値という言葉につながります。ブランド価値とは、「その商品であれば、顧客が高い価格を支払ってでも買いたいと思うもの」のことです。

たとえば、100円で買える商品に対して、その名前がつくことによって130円でも顧客が買いたいと思うものがブランドで、差額である30円の価格プレミアムがブランド価値ということになります。

ブランド品であれば価格競争に苦しむ必要が軽減されるため、自社の商品やサービスをブランド品に育てたいと思うのは当たり前のことです。

とはいえ実際には、「ブランドなんて自社にはまだ早い…」と思っている方が多いかもしれません。では次にブランドに関する誤解を見ていきましょう。

ブランドに対する誤解

いきなりですが、皆さんが思い浮かべるブランドを挙げてみてください。

高級時計のロレックス、オメガ。クルマであればベンツ、トヨタ。
スポーツブランドならナイキやアディダスなどでしょうか。

どれも「世界中で知らない人はいない」といっても言い過ぎではないようなブランドです。

こういったブランドに共通するのは、いずれも大企業が展開している商品・サービスであることです。多大な広告宣伝費をかけて、そのブランド地位を確立しています。そのため、「ブランド=大企業のもの」というイメージを持たれていることがあります。

実は、それは大きな誤解です。

そもそも前述の大企業も商品やサービスを発売した当初は小さな企業だったのです。

この記事を読まれている方の中には、ナイキの創業者フィル・コリンズ氏の自伝的著書「シュードック」を読まれた方がいるかもしれません。$50の元手から何度も倒産の危機を乗り越えて世界的ブランドにまで育てたストーリーが語られています。

つまり、大企業でないとブランド構築ができないというわけではないのです。ブランドが育つことによって企業が成長するのであって、ブランドは育てる意識がないと育ちません。

日本の中小企業でも強いブランド価値を持つ企業は多くあります。
その一例が、今治タオルです。

愛媛県今治市は、日本有数のタオルの産地ですが、東アジアの安価品の影響によって業績は低迷し衰退産業と考えられていました。そのような状況に危機感をもったタオル工業組合と今治市が協力して今治タオルとしてのブランド化に取り組みました。

100社以上のタオル業者が集まってブランディングに努め、高品質、高級タオルとしてのブランドを築き上げました。今治タオルは、日本の伝統的なタオル産地としての強みを活かし、小さな企業が集まってブランド確立に成功した良い例でしょう。

では、強いブランドを作るにはどうすればよいのでしょうか?

「ブランド作りをはじめよう!」と思って、いきなりかっこいい商品名をつけようとしたり、ロゴやパッケージのデザインを考えようとしたりする必要はありません。

最初にすべきことは、本記事のテーマであるブランドストーリーを作り上げることです。もっとはっきり言うと、ブランドストーリーが明確でないのに商品名やロゴのデザインを考えても無駄になってしまうことさえあります。

では、早速、ブランドストーリーとは何かをご説明します。

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ブランドストーリーとは

ブランドストーリーとは、ブランドにまつわる歴史、社会との関わり、創業者の想い、製品のこだわりなどが物語となったものです。そのブランドの特徴、あり方、違いが物語として顧客の心の中に浸透して、より深い理解や愛着を生み出すという効果が期待できます。

ストーリーと対極にあるのは、商品やサービスの良さやスペックの詳細を記載した広告や説明書きにあたるでしょう。良さを正確に的確に伝えるという点ではそのような広告も必要です。しかし、それらの広告が顧客の心に留まり理解されるためには、顧客の理解力に頼らざるをえないという弱点があります。

顧客が理解できず記憶されなければ広告の意味はありません。そうすると結局は、顧客は価格というわかりやすい基準に頼らざるをえなくなってしまうのです。

ストーリーは、顧客の心に訴えかける効果があります。開発秘話や利用者の喜びの物語は人の心に残って興味、感動、共感を引き起こすことができます。

では、ブランドストーリーはどうやって、顧客の興味・感動・共感を引き起こすのでしょうか?

ブランドストーリーが重要である理由

大阪の町の本屋さんを事例にご紹介したいと思います。

この本屋さんの名前は「正和堂書店」で、大阪市鶴見区という中心地からは少しだけ離れた場所にあります。普通の本屋さんのイメージよりは少し大きめですが、都会にあるような大型書店よりは明らかに小さな書店です。

顧客層も最寄駅の利用者や近所の住民と思われるところですが、このお店にはわざわざ遠方から出かけてくる顧客も多いそうです。

その理由がブックカバーです。

経営者の子息がデザインするブックカバーがSNSで評判を生み、ブックカバーを目当てにお客様がやってきています。しおりと一体にしたアイスバーなどかわいいデザインのブックカバーが話題となって顧客を惹きつけているそうです。

ここまでの話だけですと、ブックカバーのデザインの話でブランドストーリーと関係ないのではと思われるかもしれません。しかし、もう少し深堀すると本屋さんの想いがストーリーとなって伝わってきます。

正和堂書店は、創業約50年の老舗書店です。現在の経営者の父親が創業し、ブックカバーのデザインは創業者の孫にあたる方が担当しています。こういった地元型の本屋さんが経営的に難しい世の中になっていることは想像に難くないでしょう。

厳しい環境の中で、多くの人に「本屋に立ち寄ってもらいたい」「良い本に巡り合ってほしい」という想いからSNSで書籍の紹介を始めたのがきっかけで、多くのフォロワーを獲得しました。

そこから印刷会社での勤務の経験を生かしてブックカバーのデザインも手掛けて話題を呼ぶことに成功しました。

単に、かわいいデザインのブックカバーであれば、他でも入手する方法はあるかもしれません。お客様に「本に興味を持ってもらいたい」「本屋に来てほしい」という想いが顧客に伝わり共感することで、本屋さんを助けてあげたいと遠方から本を買いにいくという動機を与えているのです。

ブランドストーリーを作る上で最も重要なことは正和堂書店のように“想い”を伝えることです。商品・サービスを提供することによって、成し遂げたいことが何なのかを明確にさせてブレないことです。大企業が実施するようなキャンペーンやデザインが最初から必要ではないのです。

「想いはわかったけども、どうやってストーリーにすればいいの?」と気になる方が多いかと思いますので、ここからは具体的なストーリー作りの方法をご説明します。

ブランドストーリーの作り方3ステップ

ストーリーは以下の3ステップで作ることができます。

ブランドストーリーの作り方3ステップ

順番にご説明します。

1. 主人公を決める

物語には主人公が必要です。ブランドストーリーで登場する主人公のタイプは主に3つあります。

創業者、経営者、従業員

そのブランドの想いを最も体現する存在です。
仕事に対する熱意が物語になります。

NHKの人気番組の「プロフェッショナル」では、さまざまな仕事に取り組む人にスポットライトを当てたドキュメンタリーで視聴者は、その熱意に心を打たれます。

この番組を見て、その企業の商品・サービスを買ってみたい、使ってみたいとファンになった経験がある人もいるのではないでしょうか。

仕事に一生懸命に取り組む人たちは必ずどこかに熱い想いを抱いています。その想いを掘り下げることで人の心を揺さぶるストーリーが見つかります。

製品・サービス

提供する製品・サービスが主人公となります。この記事ですでに紹介した今治タオルは、まさにタオルが主役です。

もともと一般的に持たれている日本製品に対する高品質、高級品のイメージを利用して、毎日使うバスタオルを「安くて低品質でも機能を果たしてくれる日用品という存在」から、「幸福な時間をもたらしてくれる存在」へとストーリーによって導いているのです。

提供する製品・サービスのこだわり・意味を“想い”とともに物語にしましょう。

消費者・顧客

クレジットカード会社マスターカードのCMの「プライスレス-お金では買えない価値がある」はその一例です。カードを利用する顧客がお金には代えられないような感動を味わっているシーンの数々によって、マスターカードを持つことの価値が伝えられています。

顧客にどんな感動を味わってもらいたいかについて、思いを巡らせてみましょう。

2. 何パターンも作ってみる

3つの主人公のタイプをご説明しましたが、これら3つすべてのタイプでそれぞれのストーリーを作ることも可能です。

さまざまな角度からストーリーを考えることでブランドの強みが見つかります。したがって、1つのアイデアに固執するのではなく、たくさんのアイデアを集めることが重要です。肝心なことはそれぞれのストーリーが“想い”からブレないことです。

マスターカードのCMも何パターンもありますが、伝えたいメッセージは変わりません。一貫性をもたせることはブランド確立のために重要です。

3. 発信し続ける

「伝えたいことはわかってきたけど、自分にはストーリーにするような文章力がない…」

こんな風に悩まれる方もいるかもしれません。しかし安心してください。

必ずしも大作の物語を作る必要はなく、正和堂書店のようにSNSを活用して一つ一つ積み上げていくという方法もあります。また、店舗販売であれば店内のPOP広告やチラシで伝える方法もあります。

大事なことは発信をすること、そして続けることです。

強いブランドは一朝一夕で構築できるものではありません。発信を止めてしまうのはブランドの成長が止まることを意味します。すぐに結果が出なくても諦めず、ご自身なりのやり方で少しずつ発信を継続していきましょう。

注意点:ウソと誇張を区別する

最後に注意点として、ウソと誇張について説明します。ストーリーの中に少しでもウソが混じっていると一気に価値を失います。人の心には残らなくなるのです。

一方で、理想を追求する上での誇張とウソは違います。ストーリーの中で目指すべきところが現実より少し遠くてもその理想の姿を描くことは問題ありません。そうすることで、ブランドの目指す方向性がより鮮明になるでしょう。

理想やロマンを語ることは、最初は、言い過ぎ、誇張と取られるかもしれません。しかし、そこへ近づこうとする“想い”があればそれはウソではありません。

BtoB企業での活用事例:キャンつくのブランドストーリー

これまでご紹介した事例はBtoC企業のものが多かったため、BtoB企業の事例もご紹介しましょう。

当メディアを運営する株式会社ピクルスでは、SNSキャンペーンツール「キャンつく」を提供しています。

ピクルス代表のタナカミノルは、元々手動で行われていたSNSキャンペーンの膨大な工数を減らし、「手軽に簡単に」キャンペーンを行える企業を増やしたい、という想いからキャンつくを開発しました。

当時、類似のサービスは他に存在しませんでしたが、現在ではさまざまなキャンペーンツールがリリースされ、多くの企業がキャンペーンを実施できるようになりました。

タナカが開催した下記のウェビナーではそうしたストーリーを改めて熱弁しており、参加者からは「代表の熱い想いに感動しました!」「これからもキャンつくがんばってください!」といった声も挙がっています。

このように、代表自らブランドストーリーを発信することで、ブランディング効果も期待できます。

キャンペーンはSNS上で何万人というユーザーにシェアされることも多いため、ブランドストーリーを広めるプロモーション施策としても最適です。

キャンペーンについては下記の記事が参考になります。
【2023年最新】SNSキャンペーン成功事例18選!手法や実施する4つのコツを解説

まとめ

ブランド構築の根幹となるブランドストーリーの意義とその作り方3ステップについてご説明をしました。

ブランドストーリーにおいて、もっとも重要なことは”想い”です。

ご自身の会社、商品・サービスが目指す方向性やそのためのこだわりを物語にすることで、顧客の心に響かせることができます。ブランド構築が難しいと思われている方も、すでに根幹となるものは自信の心の中にできているかもしれません。

強いブランド構築のために根気強く、少しづつでもいいのでストーリーを語ることを始めてみましょう。

▼ファンを呼ぶファンを作る方法を動画で解説しています!

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想定される活用シーン

ブランディング・広告

ライター:荒尾 康宏(あらお やすひろ)

経営・マーケティングコンサルタント

ヘルスケア業界にてグローバルマーケティングに10年以上従事、プロダクトマネージャーも務める。現在は、中小企業診断士として製造・流通業などのマーケティング及び営業コンサル業務に従事する傍ら中小企業の役員も務める。

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