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情報セキュリティ課題を気付かせる診断コンテンツ|ニーズを顕在化させる事例【5選】
情報セキュリティビジネスには、ニーズが潜在化しやすい、ターゲットにアプローチしづらいという問題点があります。この問題点に対して、顧客に情報セキュリティ課題や危険性を気付かせられるのが診断コンテンツ。診断コンテンツによるBtoBターゲットへのニーズ顕在化やアプローチ事例を紹介します。
更新日:2023/09/20 公開日:2023/09/14
現代社会において、情報セキュリティは企業にとって重要な課題です。しかし、多くの企業は情報セキュリティへの関心が十分とは言えないのが実情です。そのため、情報セキュリティビジネスには大きな需要があるものの、顧客へのアプローチがとても難しい状況となっています。
そのような中、近年、BtoBのマーケティングにおいて効果的なアプローチ手法として注目を浴びているのが「診断コンテンツ」です。診断コンテンツとは、ユーザーからの回答を得ることで、その人に最適化した情報を提供するコンテンツです。
この診断コンテンツをうまく活用すれば、これまで難しいとされていた情報セキュリティ担当者への効果的なアプローチが可能となります。
この記事では、BtoBビジネスにおいてピンポイント顧客へのアプローチを実現した「診断コンテンツ」の事例を5つ紹介します。また、情報セキュリティビジネスにおける、効果的な診断コンテンツ案も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
※当コンテンツは、BtoBビジネスで差をつける診断コンテンツの開発・運用に効果を発揮する診断作成ツール「ヨミトル」を提供するピクルスが監修しています。
目次
日本の情報セキュリティ意識
情報セキュリティの重要性はますます高まっていますが、日本における企業内情報セキュリティ意識にはまだまだ課題が存在しています。そこで、ここではガートナージャパン株式会社の『従業員のセキュリティ意識の現状に関する調査結果』を参考に、日本の情報セキュリティ意識について解説します。
※セキュリティ支援企業のマーケティング手法の参考
顧客にセキュリティ課題や危険性”に気づかせる「セキュリティ課題診断ツール」を紹介!
企業のセキュリティ意識
近年、多くの企業が情報セキュリティの問題と直面しています。サイバー攻撃やデータ漏洩などの被害は、企業の信頼や業績に大きな影響を及ぼします。
そのような中、従業員の情報セキュリティに対する関心は高まりつつあるものの、いまだ十分とは言えない状況のようです。従業員300人以上の国内企業を対象に行った調査では、4割以上の企業が「自社の従業員のセキュリティ意識が低い」と回答しました。
引用元:https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20230810
また、「セキュリティ意識が高い(意識が低いという回答は全く該当しない)」と回答した企業は10%強にとどまり、まだまだ情報セキュリティへの意識を高めることは、企業の重要な課題であることが分かります。
また、企業内のセキュリティルールについては、6割強の企業が「セキュリティ・ルールが分かりにくい」と回答しています。これはセキュリティ意識の高い企業においても、実情はルールの整備または浸透が追い付いていないと考えられます。
以上のデータを考慮すると、企業のセキュリティ意識はまだまだ十分とは言えません。
情報セキュリティのマーケティング課題
情報セキュリティ市場には、他の市場とは異なる課題が存在しています。その課題を踏まえたマーケティング施策を講じないと、投入したリソースに対して思うような結果を得られないでしょう。
そこで、ここでは情報セキュリティ市場における独自のマーケティング課題について解説します。
ニーズの潜在化
情報セキュリティに関するニーズは、企業内で潜在化している可能性が高いです。情報セキュリティは重要な課題と認識されているものの、今すぐ対策を取らなければならないという意識は低く、具体的な対策の検討が進んでいません。。
そのため、情報セキュリティ製品やサービスを提供するには、何かしらの手段で企業内のニーズを顕在化させる必要があります。
例えば
・サイバー攻撃事例の提示
・情報セキュリティ診断
・ワークショップやセミナーの開催
などが考えられます。
これらの方法で、企業内の危機意識を高めて、情報セキュリティに関するニーズを顕在化させる取り組みが必要です。
担当者へのアプローチ
情報セキュリティに対する企業内の環境は、まだまだ整っていないケースが多く見受けられます。そのため、情報セキュリティの担当者が不明確であったり、仮に担当者がいたとしても、外部からは分かりにくい場合が多いです。
そのため、現状では情報セキュリティ担当者に、ピンポイントでアプローチする有効なメディアや手法が不明確となっています。この問題を解決するには、オンラインメディアの活用や情報セキュリティ関連資料の配布、意思決定者への直接アプローチなど様々な施策を行う必要があります。
これらの方法を複合的に活用し、担当者との接点をつくる取り組みが必要です。
選択肢の多さ
多くの企業において、情報セキュリティ担当者は必ずしもセキュリティ専任とは限らず、詳しい知識を持っているとは限りません。その一方で、セキュリティツールの種類は数多く、製品やサービスの特徴は多岐にわたっています。
このような状況下で、多くの担当者はどのような基準でセキュリティツールを選ぶべきかが分からないという難題を抱えています。
そのため、担当者へのアプローチを行う際は、情報セキュリティに関する幅広い情報やガイドライン、セキュリティツールの比較情報などの提供で、担当者が的確な判断を下せるようにサポートする取り組みが必要です。
マーケティング課題を解決する診断コンテンツ
情報セキュリティ市場には、ニーズの潜在化にともなう独自のマーケティング課題が存在しています。この課題を解決するためには、従来とは異なる新たなマーケティング手法が必要です。
その新たな手法の一つとして近年、注目されているのが診断コンテンツです。診断コンテンツとは、顧客のニーズや課題を診断するオンラインコンテンツのことです。診断コンテンツの持つ特徴を活かせば、情報セキュリティ市場における課題を解決できます。
ここでは、情報セキュリティ市場に診断コンテンツを取り入れるメリットについて解説します。
ニーズの顕在化
診断コンテンツを活用すれば、潜在化しているニーズを顕在化できます。
診断コンテンツとは質問を通して顧客の状況や悩みを把握し、分析結果を提供するオンラインコンテンツです。そのため、診断コンテンツは顧客の現状を把握できるとともに、最適化された情報を分かりやすく伝えられます。
その結果、それまで顧客が抱いていた「何となく不安」という感覚が、「○○に注意すべき」という具体的な課題へと変わります。それにより、顧客は情報セキュリティに対して何をすべきかを理解でき、情報セキュリティニーズが顕在化します。
ターゲットリードの獲得
診断コンテンツは、ターゲットリードの獲得にとても優れたコンテンツです。診断コンテンツにはネット上で気軽に参加できるとともに、テーマによってリード選定を行えるという特徴があります。これら2つの特徴を組み合わせると、幅広い潜在顧客の中からターゲットとしたいリードを獲得することが可能です。
また、診断コンテンツを活用すれば、情報セキュリティ担当者というニッチなターゲットに対しても、的確なアプローチが可能です。例えば、診断のテーマを情報セキュリティに関するものとすれば、そこにアクセスする顧客は必然的に、情報セキュリティに関心を持っている人となります。もちろんその中には、セキュリティ担当者が含まれる可能性が高く、より効率的なアプローチを行えるでしょう。
課題の明確化
診断コンテンツを活用すれば、顧客の具体的な課題を明確化できます。診断コンテンツでは、顧客に自社の情報セキュリティ状況やリスクに関する質問を行い、その回答内容をデータとして取得することが可能です。このデータを分析すれば、顧客の課題やニーズを把握できます。
例えば、「社内の情報セキュリティ教育は十分か」「サイバー攻撃に対する対策は万全か」「情報セキュリティに関する法規制は遵守しているか」といった質問に対する回答を得られれば、顧客の情報セキュリティレベルや課題が明らかになります。そのような顧客ごとの課題が事前に把握できれば、営業活動でも的確な提案を行うことが可能です。
このように診断コンテンツを利用すれば、営業担当者の直接ヒアリングが無くても課題を明確にでき、営業の効率化を図れます。また、顧客へのスムーズな提案により、担当者との信頼関係を築くこともできるでしょう。
顧客との関係構築
情報セキュリティに関する営業は、顧客の社内状況が大きく関係します。顧客の企業内で情報セキュリティに関するニーズが顕在化しなければ、なかなか成約には結びつかないからです。
そのため、顧客へ的確にアプローチするには、ニーズが顕在化するタイミングを捉える必要があります。そのタイミングを捉えるには、日頃から顧客との継続的な関係を構築しておくことが最も効果的です。継続的関係が構築できていれば、タイミング把握や提案への対応を素早く行えます。
顧客と継続的な関係を維持するには、オンラインツール等による効率的な情報提供が重要です。その一方で、メルマガなどのオンラインツールには開封率が低く、次第に顧客の関心が低下するという問題があります。
この問題に対して、診断コンテンツはメルマガ等よりも開封率とクリック率が高いコンテンツのため、長期的な関係構築に適したツールと言えます。
具体的な例を紹介すると、BtoB業界におけるメルマガの開封率の平均は約20%、クリック率の平均は1%前後であるのに対し、診断コンテンツを用いた場合のメルマガ開封率は約30.7%、クリック率は2.8%を記録しています。こちらの事例についてはこちらの記事で紹介していますので興味がある人はお読みください。
したがって、診断コンテンツを活用した情報を定期的に送れば、顧客との連絡を取りやすくなり長期的な関係も構築しやすくなります。その結果、最適なタイミングをしっかりと捉え、的確なアプローチができる可能性が高まります。
ターゲットにリーチする診断コンテンツ事例
BtoBビジネスでは、ターゲットとなる担当者にリーチするのが難しいという課題があります。その課題を解決するために、多くのBtoB市場において、診断コンテンツが活用されています。
ここでは、それらの診断コンテンツの中から、注目されている5つの具体事例を紹介します。
『マーケティング課題診断』
「マーケティング課題診断」は、株式会社ピクルスが展開している、企業が抱えるマーケティング力や課題を分析する診断です。
「マーケティング課題診断」では、ユーザーのマーケティングおよび営業活動状況を分析して、マーケティング活動の総合評価を診断します。
ユーザーは「リード獲得力」「セールス力」「カスタマーサクセス力」や4P分析についての診断結果が得られ、課題ごとのアドバイスを得ることができます。
このように顧客のマーケティング課題を明確にすることで、顧客が認識できていなかったニーズを顕在化することに成功しています。
『採用スタイル診断』
「採用スタイル診断」は、株式会社ビズリーチが展開している、見落としがちな採用課題が分かる診断です。
「採用スタイル診断」では、ユーザーのワークスタイルや価値観を分析して、採用担当者の採用スタイルを診断します。
ユーザーは自分の性格タイプを知るとともに、採用場面で応募者のどのような要素を重視する傾向にあるかを知ることができます。
この診断では対象を採用担当者に限定することで、的確にターゲットリードを獲得する仕組み作りに成功しています。
『公認会計士のための働き方診断』
「公認会計士のための働き方診断」は、ジャスネットコミュニケーションズ株式会社が展開している、公認会計士としての性格タイプやキャリア志向が分かる診断です。
「公認会計士のための働き方診断」では、ユーザーのワークスタイルや公認会計士の価値観を分析して、「性格」「プラス面」「よくある行動や考え方」を診断します。
さらにユーザーは会員登録することで、詳細な公認会計士としての働き方に関する診断結果を得られます。
この診断では、公認会計士という限定したターゲットに対して、集客から会員登録までをスムーズに誘導する仕組み作りに成功しています。
『コンテンツマーケティングチェック』
「コンテンツマーケティングチェック」は、記事コンテンツ制作・ライティング代行のかくたまが展開している、サイトのコンテンツマーケティングを分析する診断です。
「コンテンツマーケティングチェック」では、企業のコンテンツマーケティングに対する取り組み内容を分析して、「計画力」「コンテンツ力」「発信力」「分析力」「行動力」を診断します。
また、ユーザーはメールアドレスを登録すれば、コンテンツマーケティングに関する詳細レポートを入手できます。
この診断ではコンテンツマーケティング担当者に詳細な課題提起を行うことで、ニーズの顕在化とリード獲得に成功しています。
『BtoBマーケの戦略パターン診断』
「BtoBマーケの戦略パターン診断」は、株式会社アジタスが展開している、事業や製品の特徴に応じたBtoBマーケティングの戦略を分析する診断です。
「BtoBマーケの戦略パターン診断」では、企業のビジネススタイルを分析して、BtoBマーケの戦略パターンを診断します。
この診断では自社の特徴が分かるとともに、マーケティングや営業における重点ポイントを知ることができます。
BtoBマーケティング担当者というニッチなターゲットに対して、この診断は的確な情報提供を行うことで、リード獲得に成功しています。
セキュリティ業界の診断コンテンツ企画案
情報セキュリティビジネスにおいては、ニーズが潜在化しているか顕在化しているかによって、顧客から求められる情報が大きく変化します。
そこで、ここではそれぞれの顧客にアプローチする診断コンテンツの企画案を紹介します。
『自社のセキュリティは大丈夫?危険レベル診断』
「自社のセキュリティは大丈夫?危険レベル診断」は、情報セキュリティに対するニーズが潜在化していて「何となく不安」と感じている顧客向けの診断コンテンツ案です。
診断では社内のセキュリティ意識とセキュリティ対策の実施状況について「従業員全般」と「経営層」に分けて質問します。
分析結果から自社セキュリティの現状課題や危険度を提示し、セキュリティ対策の必要性を伝えることでサイト誘導やブランド認知を図ります。
また、会員登録したユーザーに対して、無料相談やトライアルサービスを展開すれば、ターゲットとなる担当者のリード獲得につながります。
『自社に合ったセキュリティ対策診断』
「自社に合ったセキュリティ対策診断」は、情報セキュリティに対するニーズが顕在化し、最終の選択や決断で迷っている顧客向けの診断コンテンツ案です。
この診断では顧客の情報セキュリティ課題に対して詳細な状況を回答してもらい、現状のセキュリティ対策がどのような危険レベルにあるかを分析します。
診断結果に国内外の情報セキュリティ問題の事例を盛り込めば、もし問題が発生した場合は企業にどの程度のダメージが及ぶかもイメージさせられます。
その上で、企業に必要なセキュリティ対策やソフトウェアの具体例を提示することで、社内決裁の参考資料としてもらうことも可能です。
このように情報セキュリティ担当者が具体的導入を進められる情報を提供することで、心理的距離感が縮まり、無料コンサルや資料請求へとつながります。
セキュリティ業界における診断の活用例については、下記でもご紹介しています。
セキュリティ支援企業のマーケティング課題を診断で解決!|診断クラウド「ヨミトル」
『マーケティング課題診断』を体験してみた
https://shindancloud.com/create/marketing_problem/
今回、様々なBtoB向け診断コンテンツの中から、株式会社ピクルスの「マーケティング課題診断」を体験してみました。
この診断では、自社のマーケティング活動に関する以下の質問に回答します。
・マーケティングおよび営業従事者数
・リード獲得のためのマーケティング活動
・獲得したリードの商談状況
・カスタマーサクセスの状況
・自社製品やサービスのマーケティング価値
・SNSの活用状況
質問に対する選択肢が数多く用意されているため、比較的簡単に回答することができました。
質問は合計で16問あり、BtoBターゲットという特性を考えればそれほど負担とならない質問数と言えます。
診断結果では、自社のマーケティングに対する能力値が診断され、「リード獲得力」「セールス力」「カスタマーサクセス力」ごとに状況分析やアドバイスをもらうことができました。
また、自社マーケティング状況を4P分析の観点から、製品・サービス(Product)、価格(Price)、場所(Place)、広告・宣伝(Promotion)それぞれの課題を明確にしてもらえました。
マーケティングは売上や利益のように共通基準となる指標がないため、その課題認識が担当者によって食い違うケースがあります。そのような場合に「マーケティング課題診断」を利用すれば、担当者自身が第三者の意見を参考にできるだけでなく、共通の課題認識を形成する情報としても活用できます。
このような情報分析をシステム的に提供するノウハウがある企業であれば、どのようなマーケティングサポートが受けられるのかコンタクトを取ってみたいという印象が生じると感じました。
まとめ
ここまで、情報セキュリティ業界における診断コンテンツのメリットと、BtoBビジネスでの具体事例を紹介しました。
診断コンテンツは潜在化したニーズを顕在化させ、BtoBのユーザーにアプローチする有力なコンテンツです。また、ニーズが顕在化したユーザーに最適化したセキュリティに関する情報を提供し、最終の選択や決断を促す働きも期待できます。
さらに、診断コンテンツから情報セキュリティに関する課題を把握すれば、的確な営業活動につながり成約率のアップが可能です。
今後、情報セキュリティの必要性はますます高まり、市場は大きく拡大していきます。拡大する需要に対してマーケティング施策の差別化を図れるかが、ビジネス成功の重要な鍵となります。
情報セキュリティ業界のマーケティング活動で診断コンテンツを積極的に活用し、ニーズの潜在化とビジネスの成長を目指していきましょう。
※参考 情報セキュリティ業界向けの診断コンテンツ情報
セキュリティ支援企業のマーケティング課題を解決する「セキュリティ課題診断ツール」を紹介!
ライター:トライフィール
心理学マーケター
任天堂の大ヒットDSソフト「レイトン教授と不思議な町」の監修を務めた心理学者「多湖 輝」氏のもとで診断を開発。心理学、脳科学、行動分析などをベースに大手メーカー、大手出版社での開発実績をもつ。SNS発信とブログ運営で身につけた文章術を用いて「人間心理×ビジネス」の在り方を次の世代へと紡ぐ。 ・SNS https://x.com/trifeel1 ・HP https://trifeel.co.jp/