セールス・イネーブルメントは、営業組織全体でスキルと知識の均一化を実現し、営業成績の向上に繋げるための取り組みです。今回の記事では、セールス・イネーブルメントのメリット、成功事例、導入方法まで解説します。「営業成績を伸ばす方法を探している」「営業担当者のスキルや知識のばらつきに悩んでいる」「営業支援ツールを活用して効率を上げたい」このような悩みを持っている方は、ぜひ参考にしてください。※当コンテンツは、セールス・イネーブルメントに有効な営業支援ツール「ヨミトル for セールス」を提供するピクルスが監修しています。▼関連記事顧客獲得を効率化する診断コンテンツとは?【リード獲得、商談化、成約】セールス・イネーブルメントとは セールス・イネーブルメント(Sales Enablement)とは、売上目標の達成や市場での競争力強化を目指し、営業担当者を戦略的に育成する手法です。目標達成に必要なスキルや知識の習得を通じて、営業担当者一人ひとりがどのように成長し全体の成果に貢献できるかが、セールス・イネーブルメントでは重視されます。顧客ニーズのヒアリングや提案力向上など、営業組織の成果目標にあわせた育成プログラムが実施されます。セールス・イネーブルメントを実施する際は、目標設定から始まり、必要なスキルの学習、そして実際の営業成績向上にどのように結びついたかの検証まで、計画的かつ体系的に進められる点が特徴です。国内外で導入が進むセールス・イネーブルメント 営業組織を強化し営業成果を向上させる目的で、セールス・イネーブルメントの導入が国内外で進んでいます。海外で成果を収めている実績と日本国内での導入事例について解説します。海外での導入実績 セールス・イネーブルメントは、海外では既に導入が進んでおり多くの成功事例が報告されています。 CSO Insights 2019 Sales Enablement Reportのデータによると、2019年の時点で調査対象企業の61.3%が、セールス・イネーブルメントの組織を設けていると報告されています。2013年の19.3%から比べると普及率は大幅に増加していることが、以下のグラフからわかります。 引用:CSO Insights 2019 Sales Enablement Report さらに、同レポートでは、セールス・イネーブルメントを導入している企業が導入していない企業に比べて、平均受注率が6.5ポイントも高いというデータも報告されていました。セールス・イネーブルメントが実際に営業成績の向上に寄与していることがわかります。 引用:CSO Insights 2019 Sales Enablement Report このように、海外ではセールス・イネーブルメントの導入が既に進んでいます。営業成果を向上させる手段として実績を残していることが、上記のデータからわかります。国内での導入事例 日本国内でも、セールス・イネーブルメントを導入する企業が増加しています。書籍「セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方」に掲載されている導入事例を紹介します。Sansan Sansanでは、最初から「セールス・イネーブルメントを導入する」という明確な指針の元にセールス・イネーブルメントの取り組みが始まったわけではありません。中長期の成長計画を実現するために育成も含めた営業組織を検討することが、きっかけとなりました。クラウド名刺管理というサービス単体ではなく「SFA、CRMといった他のツールとSansanを連動させて、どのような効果を生み出すのか」という点を提案できるためのプログラムを中心に設計されています。営業部長やマネージャーからは、新入社員の立ち上がり速度と生産性が大きく改善したと評価されています。また、新人教育への負担が大幅に軽減されたことも、セールス・イネーブルメントの成果として営業マネージャーから報告されています。NTTコミュニケーションズ NTTコミュニケーションズがセールス・イネーブルメントに取り組むきっかけとなったのは、複雑化した商材に対応できる営業への変革が必要だった点が挙げられます。セールス・イネーブルメントを担当する部署としてData.Campを立ち上げ、営業データ分析の経験者から販売企画、フロント営業まで、営業プロセスのすべてをカバーできる人材がバランスよく配置されています。NTTコミュニケーションズでは、データ収集と基盤整備から始まり、市場動向やトレンド情報の分析、フロント営業へのコーチング、提案ツールの企画に至るまで、組織全体で営業を支援する体制を構築しました。その結果、ナレッジの共有スピードが高まり、営業担当者の学習意欲が増大したという効果が得られています。Salesforce Salesforceがセールス・イネーブルメントを始めたきっかけは、中途採用者の立ち上げを加速する研修プログラムがきっかけでした。対象分野は中途採用者から拡大し、営業だけでなくインサイドセールス、SEなどの顧客接点のある営業組織全体をカバーする規模になりました。セールス・イネーブルメントのプログラムの多さも、Salesforceの特徴です。トレーニング、コーチング、ツール、システムといった多様なプログラムが提供されています。ここまで大規模なセールス・イネーブルメントを実践できているのは、Salesforceの「初期教育をきちんと実践することが、遠回りのようで実は近道である」という分析結果に基づいた取り組みによるものだと考えられます。国内事例の共通点 書籍「セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方」では、上記の3つのセールス・イネーブルメント事例の共通点として、以下のものが挙げられています。イネーブルメントへの取り組みの起点は全てビジネス成果の実現イネーブルメント専門組織を設置SFAの活用が大前提となっているプログラム開発は内製で、実務的なプログラム提供を重視KPIは各社とも営業成果指標と連動ラーニングカルチャーを実現引用:セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方本記事の事例紹介は、書籍で紹介されている内容の一部分に過ぎません。事例の詳細が気になる方は、ぜひ書籍をご確認ください。セールス・イネーブルメントを導入するメリット セールス・イネーブルメントは、営業組織の成果を継続的に向上させる効果的な手段の一つです。セールス・イネーブルメントを導入することで得られる、以下のメリットについて解説します。売上に直結する教育プラン成長し続ける改善サイクル営業の勝ちパターンを共有学び続ける文化の醸成売上に直結する教育プラン 売上に直接貢献する教育システムを構築できる点は、セールス・イネーブルメントを導入する大きなメリットの一つです。セールス・イネーブルメントを導入する際は、営業目標達成に必要なスキルや知識を明確に定め、それに基づいた教育プランを策定することが重要です。また、営業担当者が営業活動で直面する課題を解決することも求められます。そのための実践的なスキルを身につけられる内容にすることも必要です。このようなセールス・イネーブルメントのプログラムを提供することで、個々の営業担当者のキャリア成長が実現でき、営業組織全体の目標達成にもつながります。成長し続ける改善サイクル 営業組織が継続して成長できるように、セールス・イネーブルメントで提供されるプログラムの内容を定期的に見直し、改善することが重要です。 その結果、プログラムは営業活動の新しい課題や市場の変化に適応したものに更新され、営業担当者は常に最新の知識やスキルを身につけられるようになります。このような改善サイクルを繰り返すことで営業組織全体が強化され、より効率的で効果的な営業活動が可能になります。営業の勝ちパターンを共有 セールス・イネーブルメントでは、成果を上げている営業担当者のノウハウや成功の秘訣を営業組織全体で共有します。 経験の浅い営業担当者が、トップセールスの顧客へのアプローチ方法や対応法を学ぶことができる点は、大きなメリットだと言えるでしょう。成果を出している営業担当者のノウハウを全員で共有することで、全体のレベルアップを図ることができます。学び続ける文化の醸成 セールス・イネーブルメントのメリットとして、営業担当者間で学び合い、互いに成長し続ける文化が醸成される点も見逃せません。 例えば、成功事例の共有会を開催したり、失敗から学ぶセッションを設けることで、メンバーが互いに学び合う機会を増やすことができます。こうした取り組みを通じて、全員が互いに教え学び合う環境が整い、学び続ける文化が醸成されます。セールス・イネーブルメントを導入する方法 セールス・イネーブルメントの導入により、営業組織のパフォーマンスの大幅な向上が期待できます。トップセールスの行動分析から営業DXツールの活用まで、導入するためのステップを解説します。トップセールスの行動分析 セールス・イネーブルメントの大きなメリットの一つとして、トップセールスのノウハウの共有が挙げられます。そのためには、トップセールスの行動分析を行い、売れている理由を明らかにすることが重要です。まずは、トップセールスを売上や成長率などの指標で明確に定義し、行動分析を行う営業担当者を定めます。トップセールスの行動分析を行う際は、売上の要素を細分化してトップセールスの特徴を探ります。例えば、商談の件数や受注率、単価の分析や、売上は特定の商品や顧客から発生しているのかといった傾向を分析します。また、営業の具体的な行動パターン(いつ、どこで、何をしているのか)もSFAの行動データから調査し、トップセールスが売れている理由の仮説を立てます。その後、トップセールスにヒアリングを行い売れている理由を特定し、営業組織にとって必要なサポートや資料を検討します。マネージャーや専門家による指導も必要であれば、教育プログラムに組み込みましょう。上記の取り組みを行い営業組織全体に展開していくことで、全体の活動効率が上がり、成果につなげることができます。営業資料の充実 営業担当者が、いつでもアクセス可能な状態で、充実した内容の営業資料を提供することも重要です。以下のような資料を用意することで、営業担当者は必要な時に知識を習得し、実際の営業活動に活かすことができます。資料の種類説明セールススクリプト「製品の特徴を強調する際には、このようなフレーズを使用する」という具体的な内容まで示す。 詳細なセールススクリプトを用意すれば、経験の浅い営業担当者でも、どのように商品を提案すればよいか理解できる。営業チェックリスト商談時に用意するべき資料の抜け漏れを防ぐためのリスト。トップセールスの営業ノウハウ必要な資料の準備漏れを防ぎ、商談をスムーズに進めることができる。 提案書のテンプレート、競合対策資料、商談成功率が上がるプレゼン資料など、成果の出ている営業ツールを共有する。マネージャー、専門家による指導 セールス・イネーブルメントの成功は、単に資料を提供するだけではなく、その資料が実際に理解され、活用されるかどうかにかかっています。 ここで重要な役割を果たすのが、マネージャーや専門家による指導です。指導方法の例を、以下の表にまとめています。指導方法説明ロープレ商談シミュレーションを通じて、即座にスキル向上が見込める。マネージャーから直接フィードバックを受けることが可能。ビデオフィードバック実際のロープレを録画し、映像を見ながらフィードバックを受ける。営業担当者は自分の行動を客観的に見て、改善点を認識できる。 収録した動画は、教育用コンテンツとして活用できる点もメリット。専門的な商品知識新商品や特定分野に関する深い知識が必要な場合、専門家からの直接指導により専門的なスキルを習得できる。 社外の専門家による指導は、自社にないノウハウを提供してもらえるメリットがある。効果測定 セールス・イネーブルメントの効果を正確に把握するためには、効果測定が欠かせません。まず、トップセールスの行動特性を分析し、KPIを設定します。次に、営業担当者がSFAにデータを登録し、トップセールスと同じレベルの行動が取れているかを客観的に分析します。その結果、特定の行動が営業成績の向上に直結しているかどうかが明らかになります。もし同じ行動を取っていても期待される成果が得られない場合は、営業資料の改善やマネージャー、専門家によるさらなる指導が必要となる可能性があります。トップセールスの行動分析を行った際に立てた仮説が誤っていなかったか、振り返ることも重要です。このような取り組みを行うことで、組織全体の営業活動をデータに基づいて最適化し、より効果的な営業活動を実現することが可能になります。営業DXツールの活用 営業DXツールは、デジタル技術を駆使して営業プロセスの効率化、自動化を図るツールです。顧客分析、情報共有、オンライン商談など多様な機能を備えています。 例えば、「ヨミトル for セールス」は、顧客のニーズや課題を自動で特定し、提案を自動化することで、教育コストの削減と営業力の底上げを可能にするツールです。 今回の記事で解説したセールス・イネーブルメントは、以下のような営業組織が抱える課題を解決できる有効な手段ですが、教育コストが掛かるというデメリットがあります。 ヨミトル for セールスを活用すれば、教育コストをかけずに営業担当者のヒアリングや提案の質が向上します。例えば、営業経験の少ない担当者でも、商談で自信を持って提案できるようになります。 教育コストを掛けずに営業担当者のヒアリングと提案の質を向上できる点が、ヨミトル for セールスのメリットです。まとめ セールス・イネーブルメントは、営業組織全体の成果を最大化するための戦略的な取り組みです。導入することで営業の属人化を防ぎ、組織全体で成果を出せる体制を構築できます。しかし、顧客へのヒアリングや提案能力の向上を図るには、実践的なトレーニングや営業現場での経験が欠かせません。ヨミトル for セールスのような営業支援ツールを活用することで、営業のヒアリングや提案の質を向上させることが可能です。経験の少ない営業担当者でも自信を持って対応できるようになり、営業組織全体のパフォーマンスが向上します。興味のある方は、ヨミトルにぜひお問い合わせください。