診断コンテンツの作成方法から活用方法まで、診断のすべてがわかるメディア

UX向上・改善手法&業種別の事例を紹介!具体的なプロセスや効果まで
更新日:2025/02/10 公開日:2025/02/04

UX(顧客体験)とは、顧客と接点をもってから購入に至るまでに発生する動作全般を指しています。UXの改善は、新規顧客やリピーター獲得に重要な施策です。
しかし、はじめてUXの向上・改善策を実施する場合、何をすればよいかわからないという方もいるのではないでしょうか。
本記事では、Webマーケティングに関するメディアに2年以上携わってきた筆者が、UXを向上・改善する方法や成功事例などを紹介します。
なお、当記事を監修している診断作成ツール「ヨミトル」では、ECサイトのUX向上に向けた施策を考えている方に向けて、「DtoC・自社EC業界向け 診断成功事例集」を無料で配布しています。
▼お役立ち資料
DtoC・自社EC業界向け 診断成功事例集
診断コンテンツによるUX向上の効果を具体的に把握できるので、ぜひご活用ください。
目次
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、「User Experience」の略で、顧客の体験価値のことです。
体験価値とは商品を購入したり、サービスを利用したりする際に、ユーザーが得られる喜びや期待感、満足感などの価値すべてを指します。
体験価値の例は以下のとおりです。
・商品が使いやすい
・サービスの質が高い
・サイトが使いやすい
・掲載されているコンテンツが面白い
・お問い合わせ対応が丁寧で悩みを解決できた
・ポイントでお得になった
UXは製品・サービス自体の体験だけではなく、顧客と接点をもつところから購入するまでのプロセスにもあるのが特徴です。
購入プロセスにあるUXが、顧客の購入意欲を左右するため、マーケティング施策ではUXの向上が非常に重視されます。

UXとUIの違い
UXと混同されやすい言葉として、UI(ユーザーインターフェース)があります。
UIとは「User Interface」の略で、ユーザーが製品・サービスを見たり操作したりするうえで起きる接点全般を指します。
たとえばWebサイトの場合は、以下のような要素がUIに該当します。
・文字の見やすさ
・表示速度
・ボタンの押しやすさ
・情報のわかりやすさ
まとめると下図の通り、UIを考慮した設計を行えば、UXの質が向上し、顧客満足度向上にも寄与します。
ただ、UIはUXを構成する一つの要素であり、UXを総合的に改善するには、他にもさまざまな施策が必要です。
具体的な施策例は、当記事の「UXを向上・改善する6つの手法」の章でまとめています。
UXを向上・改善するメリット・効果
UXを向上・改善すると得られる効果として、以下の3つがあります。
・新規顧客を獲得しやすくなる
・リピーター獲得につながる
・コンバージョン率が改善する
UXが必要な理由を具体的に把握できるので、ぜひ参考にしてみてください。
新規顧客を獲得しやすくなる
UX向上によって顧客エンゲージメントが高まり、新規顧客を獲得しやすくなります。
顧客エンゲージメントとは、企業と顧客の間にある信頼関係や親密性のことです。
たとえば、アプリやWebサイトに記載されている情報がわかりやすいと、ユーザーは利便性に満足し、サービスの評価が高まります。
アプリやWebサイト内にあるコンテンツに興味をもってもらえれば、自社商品への関心が高まり、顧客獲得につながる可能性があります。
また、製品・サービスのUXを向上させれば、リピーターによるポジティブな口コミが拡散されやすくなります。リアルな口コミがきっかけとなって、商品・サービスを購入する新規顧客が増えるでしょう。
リピーター獲得につながる
ユーザーが満足度の高い体験をすることで顧客ロイヤリティが向上し、リピーター獲得につながります。
顧客ロイヤリティは企業やブランドに対する信頼や愛着のことです。長期的に商品・サービスを利用することで、顧客ロイヤリティが醸成され、リピーターやファンになってくれます。
UXが高いと顧客との関係性を構築でき、信頼性向上や付加価値の向上にも効果的です。たとえば「チャットボットでわからないことをすぐに解決できた」「購入までスムーズで利便性の高いECサイトだった」などが付加価値となります。
競合との差別化にもつながり、自社ならではのポジションを獲得できるでしょう。
コンバージョン率が改善する
WebサイトやアプリなどのUXを向上させることで、コンバージョン率の向上につながります。
たとえばECサイトの購入ボタンをわかりやすい位置に設置したり、問い合わせフォームでの入力をしやすくしたりすることで、ユーザーはスムーズに購入しやすくなります。その結果、離脱率の低下やかご落ちなどを防げます。
関連記事:【専門家監修】離脱率とは?直帰率との違い、離脱率の改善方法を解説
UXを向上させた成功事例
UXを向上させた成功事例として、京都発の肌ケアブランド「よーじやグループ」を紹介します。
よーじやグループは、新フェイシャルケアブランド「su-ha」を販売していますが、商品のカスタマイズ性が高い反面、ユーザーが商品選びで迷いやすいという課題がありました。
そこで解決策として、診断コンテンツ作成ツール「ヨミトル」を導入します。ECサイトと店舗の両方で活用できる診断コンテンツを作成し、顧客の回答に基づいて最適な商品を提案できるようにしました。
結果、ECサイトでは商品特設ページからの流入が約3倍、カートへの遷移が約1.3倍に増加しました。店舗では、タブレット端末を活用した接客により、スタッフの提案力向上と顧客満足度の改善を実現しています。
よーじやグループでは、オンライン・オフライン両方のチャネルで顧客体験と販売プロセスの効率化に成功しました。
以下でよーじやグループのインタビュー記事を見れますので、ぜひ参考にしてみてください。
▼インタビュー記事
診断コンテンツでECへの誘導が約3倍に、 リアル店舗でも活用し接客を効率化
なお、診断コンテンツはMBTIの流行によって広まっており、受け入れられやすいのが特徴です。大手企業も多く取り入れているマーケティング施策で、2025年のトレンドになっています。
実際に株式会社メルカリでも、「推し活グッズクイズ」といった診断コンテンツを配信して、利用者数の増加を促しています。
UXを向上・改善する6つの手法
UXを向上・改善する6つの手法を紹介します。
・顧客分析を実施する
・カスタマージャーニーマップを作成する
・利用シーンを想定して施策を考える
・一貫性のある体験を作る
・ユーザー一人ひとりにあう施策を行う
・サポート品質を向上させる
UXでどのような施策をすればいいのか決められない方は、ぜひ参考にしてみてください。
顧客分析を実施する
UX向上に向けた施策を決める前に顧客分析を行い、ターゲットがどの層なのかを明確にしましょう。
ターゲットの年齢や性別、興味関心などを明確にすれば、どのような施策が効果的か検討しやすくなります。
顧客分析を実施する際は、以下のようなフレームワークを活用するとよいです。
顧客分析に活用されるフレームワーク | 概要 |
セグメンテーション分析 | 顧客の属性や興味関心などをグループごとに分類し、共通点を見つける手法 |
行動トレンド分析 | 顧客の購入行動をグループごとに分類し、優良顧客の購入タイミングやタイミングごとのニーズを分析する手法 |
それぞれの分析によって、顧客がどのような行動をして購買に至るのかが明確になり、効果的な施策を考えやすくなります。
カスタマージャーニーマップを作成する
顧客体験を理解するために、カスタマージャーニーマップを設計しましょう。
カスタマージャーニーマップはユーザーが自社商品やサービスに接点を持ち、購入に至るまでの心理状態や行動などを可視化したものです。
上記のように購入プロセスごとに顧客との接点や行動、心理状態などを記載します。記載した情報をもとに、どのような施策が効果的かを提案・実施することで、UX向上につなげられるでしょう。
カスタマージャーニーマップを作成するには、客観的なデータを用いて各プロセスでの行動や心理状態を把握するのがポイントです。
関連記事:カスタマージャーニーマップとは?陥りやすい3つの失敗と正しい作成手順をご紹介
利用シーンを想定して施策を考える
利用者の立場になって施策を考えることも大切です。
製品やサービスそのものの機能よりも、製品の利用によって得られる価値が実現できることがUXでは求められます。
まずは自社の製品やサービスを利用者として活用してみて、どのような問題があるかを探してみましょう。
自社で判断するのが難しい場合は、実際の利用者にインタビューし、商品やサービスで困っていることを調査するのもひとつの手です。
商品・サービスの問題点がわかれば、改善してより使いやすいものを提供しましょう。
一貫性のある体験を作る
UXを向上させるには、一貫性のある体験を創出することが大切です。
たとえばECサイトであれば「どのページへもすぐに遷移できる」「直感的に操作できる」などといった設計が望まれます。
とくにUXを改善する際は機能の追加によって操作が複雑になるおそれがあるため、注意が必要です。操作性が低下しないようにするために、Webサイトのデザインに関するルールをまとめ、機能を追加しても操作性に支障がないよう体制を整えましょう。
顧客一人ひとりにあう施策を行う
顧客一人ひとりにあった施策を実施することで、顧客満足度の向上や利用率の増加が狙えます。
たとえば、顧客の購入履歴や閲覧履歴からどの層の顧客か分析し、メールマガジンで求めている情報を提供するといった施策があります。
ほかにもECサイトであれば、顧客情報からおすすめ商品を紹介する機能を設けることで「自分が今必要としているものを紹介してくれる!」と思うようになり、購入してもらえる可能性が高くなるでしょう。
顧客一人ひとりにあわせておすすめのものを紹介するレコメンド機能は、多くの企業で利用されています。例として、動画配信サービスを展開しているNetflix では、ユーザーの情報から関連動画をレコメンドし、利用率の増加を高めています。
一人ひとりをターゲットにしたUX施策を実施することで、ユーザーの利便性が向上し、新規顧客やリピーターの獲得につながるでしょう。
関連記事:売上が上がる「商品レコメンド診断」業界別の活用事例を紹介
サポート品質を向上させる
商品の購入やサービスの利用などでユーザーが困らないよう、顧客サポートを充実させることが重要です。
たとえば、以下のような対策を実施しましょう。
・Webサイトによくある質問(FAQ)を設ける
・チャットボットを設置する
・診断コンテンツでおすすめの商品を提案する
・コールセンターを用意し、スタッフが同じ品質で対応できる体制を整える
ユーザーの不安を拭えるサポート環境があることで、安心して利用できるようになり、顧客体験が向上します。
なお、診断コンテンツによるサポート品質の向上については、以下の事例集でも詳しく紹介しています。無料でダウンロードできるので、UXの施策にお悩みの方はぜひご活用ください。
UXを向上・改善するプロセス
UXを向上・改善する際は、以下のようなプロセスで実施しましょう。
1.課題を分析する
2.目標を設定する
3.プロトタイプを作成する
4.UXデザインを作成し、最終確認をする
はじめてUXの向上に向けた施策を実施する方は、ぜひ確認してみてください。
1.課題を分析する
はじめに自社の商品やサービス、購入サイトなどにおけるUXの課題を分析します。
アンケート調査やインタビューなどを実施すると、ユーザーのリアルな悩みを聞けるため、改善点が見つかりやすいでしょう。リサーチの結果からどのような製品を求めているか考えることで、課題が具体的に見えてくるはずです。
また、Webサイトの場合は、分析ツールを用いて各ページのどの部分で離脱率が高かったかを把握することで、課題を見つけられます。
課題が複数見つかれば、優先順位を付けて緊急かつ影響の大きいものから解決しましょう。
2.目標を設定する
課題がわかれば、なにを達成したら解決につながるか明確にするために目標を決めます。
達成度合いを確認するには、必ずKPI(Key Performance Indicator)を定めましょう。
KPIは重要業績評価指標のことで、最終的な目標を達成するための中間目標のことです。
たとえば「売上を前年度より10%上げる」を目標にした場合、次のようなKPIを定めます。
上記のようにKPIを業務レベルに落とし込めるまで細分化することで、具体的な施策が明確になります。KPIを明確にしたら、実際に施策を実施しましょう。
関連記事:マーケティングにおけるKGI・KPI設定のポイントとは|施策別の具体例もご紹介
3.プロトタイプを作成する
KPIを達成するための施策が決まれば、施策内容に沿ってプロトタイプを作成しましょう。
プロトタイプとは試作モデルのことで、実装する前の段階で機能や使い勝手を確認するために作ります。
UXを改善したものを作成したら、ユーザーテストを実施し、問題が解決できているか確認しましょう。
フィードバックを収集し問題点が見つかれば、改善策を考えます。
4.UXデザインを作成し、最終確認をする
プロトタイプのテスト結果をもとに、実際にUXデザインを作成し、運用および販売できる状態にしましょう。
たとえば、自社で販売しているWebシステムのUXを向上させた場合は、ユーザーの目的を達成するための導線作りを意識したデザインを作成します。
最終テストを行い、問題がなければリリースの準備をしましょう。
【業界別】UX向上・改善の具体例
業界別のUX改善の具体例を紹介します。
自社でどのような施策を実施すればよいかヒントが見つかるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。
ECサイト/アプリ
大手ECサイトのAmazonでは「今すぐ買う」というボタンをクリックするだけで、注文できる機能を実装しています。「今すぐ買う」によって事前に登録した情報をもとに注文できるので、購入フォームの入力なしに発注が可能です。
ユーザーが購入する手間を減らすことで、離脱率の低下につなげています。
業務用ソフト
業務用ソフトのUX事例として、Salesforce社のチャットツール「Slack」を紹介します。
Slackは次のように複数のコミュニケーション機能が搭載されています。
・ダイレクトメッセージ
・グループチャット
・ハドルミーティング
・ビデオ会議
それぞれ使い分けをすることで、効率的なコミュニケーションを可能にしているのが特徴です。
また、Slackは楽しく便利に使えるのもポイントです。絵文字が豊富にあり、メッセージの反応を絵文字で素早く返信できます。
メールのように文章を作成する必要がなく、効率的なやり取りが可能な点がUX向上につながっています。
参考:UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?UIやCXとの違いを解説
金融サービス
三菱UFJ銀行では、スマートフォンアプリのUX向上施策として、生体認証によるログイン機能を実装しています。
生体認証とは、指紋認証や顔認証など利用者の体によって本人確認をする機能です。
スマートフォン端末で登録された生体情報をもとに、アプリにログインできるようになっています。銀行のアプリは利用者のお金の取引に関わるためセキュリティ対策を厳重にする必要がある一方で、利便性も向上させなければなりません。
生体認証を用いることで本人以外の人物がログインできないようになるため、安全かつ手間なく利用できるようになります。
参考:生体認証
動画・音楽サービス
音楽配信サービスのSpotifyはレコメンド機能を搭載しています。
ユーザーが作成したプレイリストから、リストにある音楽に似た楽曲をレコメンドし、シャッフル再生される機能です。
これまで新しい楽曲を探すのに検索する必要がありましたが、レコメンド機能によって新しい楽曲に手間なく出会えるようになりました。
参考:Spotify、ユーザーが作成したプレイリストに合ったレコメンド曲をミックスし、シャッフル再生してくれる新たなリスニング機能「スマートシャッフル」を国内でも提供開始
医療サービス
三重県に店舗を展開している健やか薬局では、UX施策としてLINEでの処方せんを受け付けています。
LINEで処方せんの写真を薬局に送付し、簡単なアンケートに回答するだけで、処方せんの受付が完了です。
お薬の準備ができたらLINEで連絡が届き、来店したらすぐに受け取れるようになっています。薬局で待つ時間を軽減でき、ほかの患者との接触リスクを抑えながら薬を受け取れます。
参考:LINEで処方箋を送信
まとめ
マーケティングにおいてUXの改善は必須です。UXが向上することで商品・サービス、Webサイトなどの利便性が高まり、顧客満足度の向上につながります。
新規顧客やリピーターを獲得するためにも、ターゲットにあった顧客体験を実現することが大切です。
ターゲットをセグメントし、それぞれの層にあった施策をすることでユーザーが興味をもつようになり、コンバージョン率の向上が期待できます。
また、レコメンド機能や診断コンテンツなどを実装することで、顧客一人ひとりのニーズにあわせた集客が可能です。
自社の目的を達成するためにも、UX向上に取り組みましょう。
なお、ピクルスではUX向上に向けた施策を検討している方向けに、DtoC・自社EC業界向け 診断成功事例集を無料で配布しています。
診断コンテンツのマーケティング効果についても詳しく紹介しているので、UXのアイデア出しにお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

想定される活用シーン
想定される診断タイプ

ライター:野田 昂暉(のだ こうき)
Webライター/コンテンツディレクター
2021年よりBtoB向けのオウンドメディア執筆代行を中心に活動中。多くのメディアで検索上位記事の制作実績を持つ。AIソリューションの開発に携わった経験もあり、SaaSとマーケティングを掛け合わせた情報を提供できる。