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ナーチャリングとはどんな意味?7つの手法・プロセスを解説!
初心者でもわかる、ナーチャリング(顧客育成)の基礎知識をご紹介。リードナーチャリング実践のプロセスも図を使ってわかりやすく解説。マーケティング支援のプロであるピクルスの知見を交えてお届けします!
更新日:2023/04/04 公開日:2022/12/08
マーケティング用語の一つであるナーチャリングは、一言で言うと「顧客育成」を意味します。
顧客育成とは、商材を利用してくれそうな顧客に対し、実際に購入してもらうまでの継続的なアプローチをかけるプロセスです。
手段としては、メールマガジンなどが分かりやすい例。
昨今のマーケティングではこの育成=ナーチャリングがとても重要になっています。
この記事では、そもそもナーチャリングとは何なのか、意味や目的から、代表的な手法、実践の手順まで、基礎知識を簡単にまとめました。
マーケティング支援会社であるピクルスの知見や、図解も交えてお届けするのでぜひ参考にしてください!
目次
ナーチャリングの意味、目的とは?
先ほどもお伝えした通り、ナーチャリングとは「顧客育成」=「顧客を購買へと至らせるプロセス」を意味します。
英語のスペルは「nurturing」で、「養育」「育成」という意味です。
ナーチャリングの最終目的は購買。つまり売上を上げることです。
なぜ売上のためにナーチャリングが必要なのでしょうか?
たとえば、Web広告からリード(見込み顧客)が自社サイトに来てくれたとします。
このとき、サイト内に「商品紹介ページ」だけがあっても、すぐに購入はしてくれないかもしれません。
特にSaaSサービスなどの長期間利用・高額の商材であれば、複数の商材を比較して検討するのが普通です。
そこで、自社サイト内に商材の説明資料や記事コンテンツなどを設置します。
コンテンツを読み進めることで、リードが少しずつ自社の商材への理解を深め、「競合よりも良い」と思った段階で、購入へ至る……こういったプロセスが、ナーチャリングです。
「すぐに買ってもらえない商材を、時間をかけて顧客育成することで買ってもらう」
というわけですね。
ナーチャリングの対象となる「顧客」は、大きく分けると「見込み顧客」と「既存顧客」の2つになります。
見込み顧客のナーチャリング(リードナーチャリング)
一般的に「ナーチャリング」と言うとき、イメージされることが多いのはこちらの見込み顧客です。
「リードナーチャリング」とも呼ばれます。
広告や展示会などで接点を持ったリードに対して、メールマガジンやセミナー、ホワイトペーパー等のコンテンツを用いてナーチャリングを図ります。
ちなみに、リードナーチャリングと似た言葉で「リードジェネレーション」もありますが、こちらは「リード獲得」の意味で、ナーチャリングの前段階に当たります。
リードジェネレーションで接点を持ったリードに対し、育成をするのがナーチャリングです。
既存顧客のナーチャリング
既存顧客へメルマガなどを配信し、追加の商品購入やオプション追加を促すこともできます。
基本的には新規顧客よりも、既に自社商材に魅力を感じている既存顧客の方が購買へ至るハードルが低いため、ここにアプローチしない手はありません。
既存顧客を、より継続的に大きな利益をもたらしてくれる優良顧客へと育成することも大切です。
顧客満足度を高める施策を行うことで、自社サービスを長く使ってくれる顧客や、より高額な商品を買ってくれる顧客を増やしていきましょう。
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なぜナーチャリングが必要なのか
売上のためにナーチャリングが必要、と先ほどお伝えしましたが、時代背景的にもナーチャリングの重要性は高まっています。
なぜ必要なのか、理由を詳しく見ていきましょう。
顧客の検討期間が長くなったから
ネットやSNSによって情報収集の手段が増え、昔よりも遥かに多くの情報に囲まれながら私たちは生活しています。
顧客にとって情報が増えるということは、選択肢が広がるということです。
自社だけでなく競合の商材もいろいろ目にした上で、「どれにしようかな」と検討するため、購入という意思決定までの期間が長く、慎重になります。
特に高額な商材や、長期に渡って利用するサブスクリプション型のサービスなどは、慎重に検討される傾向にあります。
BtoBの商材にはこういったものが多いでしょう。
じっくり時間をかけて検討している顧客に対し、すぐ買ってもらおうとしても失敗します。
顧客の購買行動に合わせ、時間をかけて段階的にナーチャリングする必要があるのです。
顧客の段階に合わせたアプローチのため
上記の通り、情報化が進んだことで競合との競争は激しくなっています。
そんな中で、ナーチャリングは競合と差別化し、自社の商品を選んでもらう手段になります。
顧客の購買フローは下の図のように段階的になっており、これを無視してアプローチをかけても失敗する可能性が高いです。

(画像引用元:https://shindancloud.com/usecase_overall/ )
たとえば、まだ自社の商材への購買意欲が高くない「興味関心」段階の顧客に、「商材の機能の詳細」を説明するメールを送っても、見てもらえないかもしれません。
「興味関心」段階の顧客には、「この商材を使うとどんな良いことがあるのか」というベネフィットが伝わるような「成功事例」などの情報を提供し、興味を高めるところからスタートした方が良いでしょう。
このように、顧客目線で段階に合わせた適切なアプローチを継続していくことで、自社は「競合とは違った特別な存在」として認識され、購買への意欲を高めることができるのです。
失注した顧客への再アピールのため
過去に商談などで失注してしまった顧客に対しても、ナーチャリングを行うことで成約してもらえるケースがあります。
ナーチャリングは温度感の低い顧客=コールドリードをホットリードへと育成できるので、適切に行えば一度商談で見送られた顧客にもリベンジできる可能性があります。
ナーチャリングの手法・施策7選
ここからは、ナーチャリングの具体的な手法を7つご紹介します。
1.メルマガ、ステップメール
継続的なメール配信は、ナーチャリングの最も基本的な手法です。
メルマガはご存じだと思いますが、「ステップメール」の方は、あらかじめ配信スケジュールを設定して、特定のタイミングで自動配信するという特徴があります。
ステップメールなら、「会員登録した人にはこのメールを送る」「登録から1週間の人にはこのメール」「商品を購入してくれた人にはこのメール」といった形で、顧客の段階に合わせて情報を送り分けることが可能。
ピクルスでも以下のように、ターゲットや段階に応じてメールの内容を変えることでナーチャリングを行い、成約へと繋げています。

メールを使ったナーチャリングについては、下記で詳しく解説しています。
2.診断コンテンツ
ユーザーが質問に回答することで、回答に応じた診断結果を見られる診断コンテンツ。
実はこれもナーチャリングに有効です。
たとえば、転職サイト「リクナビNEXT」内に設置されている適職診断。
(画像参照元:https://next.rikunabi.com/01/tenshokushindan/sp/tenshokushindan_01.html )
仕事にまつわる質問を投げかけ、ユーザーの「仕事選びの価値観」をタイプ別で診断結果に表示します。
結果画面ではタイプに応じた求人を検索できるようになっており、診断からサービス利用へとスムーズに繋げています。
ユーザーとしては、診断を楽しんで利用しながら、自分のタイプに合った求人を見られるので満足度が上がります。
見込み顧客に会員登録を促すリードナーチャリングとしても、既存会員の満足度を向上させるナーチャリングとしても機能している好例です。
他のナーチャリング手法と比べて、診断コンテンツは「ユーザーが楽しめる、自発的に参加できる」という特徴があり、「広告っぽさ」を抑えてスムーズなナーチャリングができます。
診断をナーチャリングに活用するメリットや事例は下記で解説しているので、参考にしてみてくださいね。
3.セミナー、ウェビナー
セミナーやオンラインでのウェビナーで、自社の商材の魅力を伝えることもナーチャリング手法の1つです。
ウェビナーはオフラインのセミナーと違って会場や人数の制限がなく、コロナ禍ということもあって現在流行しています。
ある程度温度感の高い顧客に対しては自社の商材について話すセミナーでも良いですが、温度感の低い顧客に対しては、
・他社と合同の企画にする
・より多くの人が興味を持ってくれそうなテーマにする
などの工夫を行った方が良いでしょう。
たとえばピクルスでは、下記のように「コンテンツマーケティングにおける魅力的なコンテンツの作り方」というテーマの合同ウェビナーに登壇。

(画像参照元:https://shindancloud.com/event/webinar-room221214/ )
ウェビナー内で、コンテンツマーケの施策の1つとして自社の「診断コンテンツ」を紹介しています。
ピクルスが提供している「ヨミトル」「キャンつく」はどちらもWeb上で使えるSaaSサービスですが、ウェビナーなら配信中の動画で実際にサービスの管理画面を使っているところなども見てもらえるので、魅力が顧客に伝わりやすいというメリットもあります。
ピクルスの最新セミナー情報はこちらで見られるので、よかったらチェックしてみてくださいね。
4.オウンドメディア
自社で運営する「オウンドメディア」もナーチャリングの有効な手法です。
オウンドメディアは企画から自分でできるので、既存のメディアでは発信できない自社独自の情報発信や、自社の顧客に合わせたコンテンツ設計ができます。
今あなたがご覧になっているこのメディア、「診断マーケティングトレンド」もオウンドメディアです。
当メディアのメインテーマは「診断コンテンツを使ったマーケティングのお役立ち情報」ですが、おそらくあなたはこのメディアを知ったばかりで、下の図で言うと「認知」の段階に当たるでしょう。

あなたが知りたいのは「ナーチャリングの情報」であって、「診断マーケティング」のことではありませんよね。
そこで、まずはナーチャリングのお役立ち情報をお伝えし、その中で間接的に診断マーケティングのことも知ってもらった上で、少しずつ興味関心を高めていただこうという作戦です。
このように、オウンドメディアのコンテンツも顧客の段階に合わせて内容を変えることで、適切なナーチャリングを行うことができます。
5.ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、顧客にとってのお役立ち情報や、自社の商材の情報をパワーポイントなどにまとめた資料のことです。
一度自社サイトに設置して無料ダウンロードできるようにすれば、その後ずっと読んでもらえるため大きな資産になります。
特にBtoB商材の場合は、顧客が競合との比較検討をする期間が長いので、自社の商材について理解を深めてもらうためホワイトペーパーがよく使われます。
ホワイトペーパーによるナーチャリングも、顧客の段階に合わせた内容にするのがコツです。
まだ温度感の低い顧客に対しては、いきなり自社の商材説明ではなく、「業界レポート」や「業務に役立つアイデア、コツ」といったお役立ち情報を提供した方が良いでしょう。
ある程度ホットリードに近い顧客には、自社の商材について詳しく説明する資料を提供しましょう。
参考までに、ピクルスでは以下のようなサービス説明の資料を自社サイトに設置しています。

(画像参照元:https://pickles.tv/blog/archives/4325/ )
6.SNS
TwitterやインスタグラムといったSNSもナーチャリングに使えます。
SNSの大きな特徴はユーザーによる「拡散力」で、コンテンツがバズれば多くの認知を得られます。
フォローしてくれたユーザーに対して、継続的な情報発信を行うことでナーチャリングを図り、最終的には自社サイトなどへ誘導するのが王道パターンです。
ピクルスでもTwitterアカウントを運営しています。
以下のように、マーケター向けのお役立ち情報を継続的に投稿することで、リード獲得とナーチャリングを図っています。
マーケターがやるべきことはシンプル。
①売上を因数分解する
②コントロールできる要素とできない要素に分ける
③コントロールできる要素を、コントロールのしやすさと効果で重み付け
④コントロールしやすく効果が高い要素にリソースを集中新人の頃の教えだが、今も基本はこれの繰り返し。
— 行動変容マーケ / ピクルス (@pickles_inc) October 31, 2022
7.リターゲティング広告
Web広告の中でも、過去に自社サイトや商品・サービスページを閲覧した顧客をターゲティングし、別のサイトを見ているときに再び広告を表示させるのがリターゲティング広告です。
一度自社の商材を認知したり、興味を持ってくれているリードにアプローチする手法なので、ホットリードへと育成できる確率が高いです。
一回目の広告で購買に至らなくても、二回目、三回目の広告で記憶に定着させ、ニーズを喚起しやすくなります。
以上、ナーチャリングの7つの手法をお届けしました。
各手法のより詳しい事例は下記で取り上げているので、気になる方は読んでみてください。
【図で解説】ナーチャリングのプロセス・手順
最後に、リードナーチャリング実践のプロセスを3つに分けてご紹介します。
1.顧客データをまとめ、分析する
まずは顧客を理解するところから始めましょう。
顧客理解には顧客データを利用します。
顧客の名前、会社規模、メールアドレス、情報を獲得したチャネルや日付などの情報をまとめて整理しましょう。
このとき、MAツールやCRMツールといった顧客情報の管理ツールがあると、より効率的に進められます。
データが集まったら、顧客をセグメントして分析します。
セグメントとは、顧客の性別や職業、これまでの取引や購買行動、獲得チャネルなどの項目でカテゴライズすることです。
カテゴライズした顧客の中から、自社が狙うべきターゲットはどこなのかを把握しましょう。
2.ペルソナ、カスタマージャーニーマップの作成
ペルソナとは、自社の商材を利用する「典型的な顧客像」のことです。
カスタマージャーニーマップは、顧客(ペルソナ)が商材を認知してから購入するまでに、どんな心理を持ち、どんな行動を取るかを段階的にまとめたもの。
セグメントを行った上で、その情報を元にペルソナを作成することで、自社のターゲットとなる顧客像や、顧客の抱えている課題がより明確になります。
そしてペルソナに基づいたカスタマージャーニーを作成することで、購買フローの各フェーズにおける顧客のニーズを詳細に把握することができます。
▼カスタマージャーニーの例

3.フェーズに合わせたコンテンツの提供
カスタマージャーニーができれば、各購買フェーズでどんな情報を提供すれば良いのかがわかります。
下の図のように、フェーズに合わせて施策やコンテンツの内容を考えた上で発信すると効果的です。

ナーチャリングのコンテンツについては、下記で作成のコツも解説しています。
まとめ
顧客育成を意味するナーチャリングは、情報化が進み顧客の選択肢が増え、検討期間が長くなった現代においては必須とも言えるプロセスです。
顧客の購買フローを明確にし、段階に応じた適切な施策を取ることで、効果的にホットリードを育成、売上へと繋げることができます。
本記事でご紹介した7つの手法やリードナーチャリングの3つのプロセスを参考に、ぜひナーチャリングに取り組んでみてください。
ナーチャリング手法の1つである診断コンテンツについては、下記も参考になりますよ。
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