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マーケターに迫る危険。近視眼的マーケティングとは?
「いろいろな施策を実施しているけど、なかなか結果につながらない…」「成果が横ばいで、コストばかり上昇している…」このような悩みを抱えているマーケターの方も多いかと思います。その原因は、「近視眼的マーケティング」に陥っているのかもしれません。
更新日:2024/10/25 公開日:2021/08/18
「いろいろな施策を実施しているけど、なかなか結果につながらない…」
「成果が横ばいで、コストばかり上昇している…」
このような悩みを抱えているマーケターの方も多いかと思います。
その原因は、「近視眼的マーケティング」に陥っているのかもしれません。
近視眼的マーケティングとは、マーケターやマーケティング組織の視野が狭くなってしまう結果、マーケティング戦略を行ってもなかなか結果につながらなったり、最悪ビジネスや企業が衰退してしまうことです。
ピクルスが支援する企業やブランドにおいても、マーケターの方がこの「近視眼的マーケティング」に陥っている場合があり、支援の中で気がついてもらう経験がありました。
そもそもマーケターを担当する方は「一定の思い込み力」があることで、大きな成果に繋がっている人が多いので「近視眼的マーケティング」に陥っている方は意外と多いと思ってます。
今回の記事では、実はよく知られていない近視眼低マーケティングとは何なのか、近視眼的マーケティングに陥る理由、それを避けるために意識すべきことなどをご紹介します。
自己チェックの意味も含めて、是非読んで頂きたいです。
※当コンテンツは、webマーケティング支援の専門家であるピクルスが提供しています。
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目次
そもそも近視眼的マーケティングって何?
最初に近視眼的マーケティングとは、何かについてご紹介します。
近視眼的マーケティングとは、別名マーケティングマイオピアともよばれており、「マーケティングに対する視野が狭い状態」のことです。
この視野が狭いことが「近視」のように近くしか見えない状態と似ているので、近視眼的マーケティングと言われております。
この理論は、1960年にハーバード大学のセオドア・レビット教授により提唱されたものですが、実は多くのマーケターが陥る危険性があることから再度注目されている考え方です。
近視眼的マーケティングの状況とは、自社が成長し続けられるという思い込み、戦略を間違えてしまったり、消費者や環境などの変化に気づかず従来の戦略を継続してしまう結果、ビジネスが衰退していったり、いつの間にか競合に負けている状況ということです。
近視眼的マーケティングに陥いて衰退した事例
近視眼的マーケティングをより理解するために、実際に近視眼的マーケティングに陥り、衰退してしまった事例をご紹介します。
日本では新幹線や地下鉄などが開通しており、鉄道がインフラとして機能しています。
しかし、アメリカではニューヨークなどの都市の限られた都市を除いて鉄道インフラは定着しておらず、移動といえばマイカーや飛行機、高速バスが主流です。
その大きな理由は、1960年代に鉄道業界が近視眼的マーケティングに陥り、衰退してしまったことにあります。
1960年代のアメリカは、車が普及などにより新たな生活スタイル、消費者意識がはぐくまれつつある状況でした。
しかし、鉄道業界は自社の事業を「鉄道事業」と「狭く定義付け」してしまってたので、このような変化についていけませんでした。
このように事業を狭く定義づけしてしまうことも近視眼的マーケティングのミスの一つです。
もし、自社の事業を「移動事業」などと広く定義付けしていれば状況は違ったかもしれません。
近年の事例では、トヨタ自動車も同じような危機感から自社の事業を「自動車事業」から「モビリティーカンパニー」と捉え直しています。
なぜマーケターが近視眼的マーケティングに陥るのか?代表的な2つの理由と事例
前章では「事業を狭く捉える」という事例をご紹介しましたが、それ以外に近視眼的マーケティングに陥る代表的な理由をご紹介します。
学術的には色々と言われているのですが、ピクルス的には以下2点に収束していると考えており、2点のみお伝えさせていただきます。
1. 似た視点の人だけでマーケティングを検討している
1点目はマーケターが属しているコミュニティの問題です。
そしてこの理由が現状では1番多い近視眼的マーケティングに陥る理由です。
みなさんは、エコーチェンバー現象というのをご存知でしょうか?
エコーチェンバー現象とは、意見や思想が価値観が近い人がいるコミュニティ内でやり取りをすることによって強化されたり、増幅する現象のことです。
現在SNSの台頭やレコメンド技術が進んだ影響で、片寄った視点を持つ人が増えたことが問題視されています。
特にSNSのユーザーレコメンドやYoutubeのレコメンドは、少しの興味を増幅させ偏った情報をレコメンドし続け、ある種の洗脳状態を作り出しているとも言われています。
エコーチャンバー現象は企業の中でも起きています。
例えば、マーケティング施策を検討するチームがデジタルを意識した人ばかりだった場合、流通の視点などがおざなりになってしまいデジタルばかりに集中した施策を行ってしまうことがあります。
その結果、施策は知られているが、プロダクトを購入出来ないというギャップが起きてしまう可能性があります。
このように同じような視点だけを持った人だけを集めてしまいマーケティング施策の検討を誤ってしまうこともよくあります。
事例:日本のテレビメーカーの衰退
シャープや日立など日本のテレビメーカーは、3Dテレビの開発やプラズマなど新たな付加価値に注視してしまった結果、衰退しました。
市場が成長し続けると思い、細かい機能を開発したり、一見ではわからない画質の向上に大きく投資、開発しました。
このような機能は開発したものの、顧客が違いに気づかなかったり、画質調整のための機能は使われないということが起きました。
つまり、顧客がある程度の画質で安いテレビのほうがいいという要望に気づかなかった結果、韓国や中国のメーカーへの流出を防げず、多くの国産メーカーがテレビ事業からの撤退をすることとなり衰退しました。
事例:コダックの倒産
フィルムカメラの時代には業界大手であったコダックは、2012年に倒産をしました。
これは、自社が大きなシェアを持つフィルムカメラに集中していた結果、デジタルカメラなどの新たな技術への対応や、SNSの隆盛などによりデータで写真は残したいという消費者のニーズをキャッチできていなかったからです。
事例:CD市場の衰退による、一部の大手レーベルの衰退
CD市場は継続的に成長していくと思われていましたが、MP3再生が可能なメモリ型プレイヤーの登場や、ストリーミング配信などにより大きく市場が衰退しました。
その変化を軽くみていた一部大手レーベルは、権利関係の見直しなどをしなかったことによりアーティスト離れが起こりました。
2. 目的と手段がごっちゃになる
2点目は、目的と手段がごっちゃごっちゃになってしまうことです。
そしてこれも近視眼的マーケティングにマーケターが陥る理由としてよくあることです。
例えば、SNSキャンペーンを実施した際に、フォロワー獲得のためにターゲットでないユーザーにAmazonクーポンを配布したり、プロダクトとは関係ないバズりそうなネタだけを発信してしまうということがあります。
しかし、そもそもなぜSNSキャンペーンを実施したのかというと、ターゲットに向けて、プロダクト購買の認知や理解・共感を高めることで、プロダクトの購買を増加させることです。
このように手段を行うことだけに視点が狭まってしまい、戦略のことを忘れてしまっている場合もマーケティング施策が失敗する可能性が高まります。
近視眼マーケティング陥らないためのポイントとは?
このように近視眼マーケティングに陥らないためにはどうすればいいのでしょうか。そのための3つのポイントをご紹介します。
この3点はすべてエコーチェンバー現象に陥らない為のポイントともかぶっているのですが、マーケター視点で伝えさせていただきます。
1. 常に顧客目線を意識する
1点目は、常に顧客目線を意識することです。
以前の企業が成長をするためには、新たな技術を開発したり、新たな製品を開発することに集中していることが重要でした。
しかし、顧客を意識せずに、商品開発だけに集中してしまうことが結果的に近視眼的マーケティングにつながってしまいます。
このようなことを避けるためにも常に顧客目線を意識するようにしましょう。
顧客のニーズやウォンツを理解したり、顧客の購買行動などを考える顧客中心なマーケティングを検討するようにしましょう。
顧客理解の方法にはアンケートや顧客ヒアリングなどいろいろありますが、ピクルスで活用しているのが診断コンテンツです。
ユーザーが質問に答えることで、回答に応じた結果を表示する診断コンテンツ。
例えばBtoBであれば「マーケティング課題診断」という診断を商談前にお客様にやっていただき、マーケティング上の課題を具体的に掘り下げます。
一口にマーケティングと言っても範囲は広いので、下記の購買フローのどこでどんな問題が発生しているのかを事前に確認しておくことで、商談でも精度の高い提案が可能です。
お客様としても診断で自分の回答に基づいて、客観的に課題を把握した状態で商談に参加されるので、こちらからのご提案が受け入れやすくなります。
ピクルスでは顧客理解に役立つ診断作成ツール「ヨミトル」もご提供しているので、気になる方はチェックしてみてください。
2. 広義の競合を設定する
2点目は、広義の競合を設定することです。
自社のプロダクトやサービスの代替品の設定など広義の競合を設定し、動向などをチェックしましょう。
この際重要なポイントは、競合といっても直接競合となるプロダクトやサービスだけにとどめないことです。
例えば、Netflixは動画配信サービスであり、直接の競合はDisney+やU-Nextなど同じ動画配信サービスです。
しかし、Netflixはこのような動画配信サービスを競合とせずに、テレビやゲームなど消費者が余暇時間に行う活動はすべて競合としています。
このように競合を大きく設定することでより柔軟な視点を持つことが可能です。
3. 第三者視点を意識する
3点目は、第三者視点を持つことです。
第三者視点とは、常に自分の立場とは違う視点を持つことです。
前述した顧客視点に加えて、マーケティング担当者だとしても経営者のような当事者意識を持ったり、他の業界の企業から見たらどのように感じるのかをなどがあります。
自身で常に意識することも重要ですが、外部の関係会社に協力を要請し新たな視点を加えることも有効です。
まとめ
多くの企業が気づかないまま実は陥っていしまっているのが近視眼的マーケティングです。
気づかないままでいると、いつの間にかビジネスに大きなダメージを与えているかもしれません。
今回の記事を通して、実は自分は近視眼マーケティングに陥っているかもしれないという危機感を感じていただいたり、自社のマーケティングを振り返るきっかけになれば幸いです。
もちろんピクルスでも成功ばかりではなく、たくさん失敗はしてきていますが、上手くいかないときほど今回ご紹介したような「広い視野」に立ち返ることが大切だと考えています。
ピクルスでは様々な企業のマーケティングサポートを行っていたり、SNSやコンテンツマーケティングなど多様なキャンペーンを実施。多くの経験を蓄積しています。
もし、外部の新たな視点でマーケティングのサポートをしてほしいとお考えの方は、一度ご相談いただければ幸いです。「まずは実際の事例を見ておきたい」という人は以下の記事を参考にしてみてください。
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