オウンドメディアなどに掲載する記事コンテンツは、新規記事の数を増やすことが大事なのはもちろんですが、既存記事をリライトすることも重要です。しかし、リライトが重要であるとは理解していても、「どの記事をリライトするべきなのか?」「どのようにリライトすると効果的なのか?」が分からず、なかなか着手できていない方も多いのではないでしょうか。本記事では、リライトの必要性を改めてお伝えしながら、リライトするべき記事の見極め方やその優先順位、実際にリライトする際のポイントをご紹介します。オウンドメディアやブログを運用されているマーケター・Web担当者の皆さまは、ぜひご参考ください。記事のリライトはなぜ必要? まずリライトとは、その名の通り「書き直す」ことを意味します。すでに公開している記事のテーマや大筋はそのままに、ユーザーが求めている情報を追記したり、細かい文言を修正したりすることを指します。リライトの主な目的は、SEOの効果を高め、記事への流入数を増加させることです。通常、記事を公開してから時間が経つにつれて検索順位は落ちていくため、定期的にリライトする必要があるのです。検索順位が落ちてしまう原因としては、より強力な新規ページの登場や、Googleのアルゴリズムのアップデートなどが挙げられます。また、そもそも狙った検索キーワードで上位表示されていない場合もあると思います。そんな時も、リライトによって上位表示を狙うことができます。記事コンテンツは、一度作成したら終わりではありません。記事を公開して、実際の結果を検証し、リライトして改善していく、といったPDCAを回していくことが重要です。リライトする記事の選定基準と優先順位 リライトが重要とはいえ、記事の数が増えてくると、リソースが限られている中でどの記事から着手していくべきかは、悩むポイントではないでしょうか。ここからは、どの記事をリライトするべきか、選定基準と優先順位の考え方をお伝えします。まずリライトの対象とするのは、公開から3ヶ月以上が経過している記事です。検索エンジンに記事が認識され、順位が安定するにはおよそ3〜6ヶ月ほどかかると言われています。そのため、少なくとも3ヶ月は様子を見る期間にするとよいでしょう。リライト対象の記事は、公開から3ヶ月以上経過した記事の中から、「記事の現状」と「インパクトの大きさ」の2軸で判断する必要があります。それぞれ詳しく見ていきます。記事の現状 記事の現状では、以下の3つの要素を順番に見ていきます。現状を踏まえて記事の課題を洗い出し、より課題解決の難易度が低く、効果の高い記事からリライトしていきましょう。 検索順位 ・CTR(クリック率)直帰率・エンゲージメント検索順位が高いか? 最初に見るべきは、検索順位が上がっている記事であるかどうかです。検索エンジンに全く評価されていない記事と、すでに8位まで上がっている記事とでは、リライトにかかる工数が変わります。8位程の記事であれば、タイトルや本文を少し変更しただけでも順位が上がる可能性もありますが、まだ評価されていない記事の場合、より広範囲にわたる本文の修正が必要になることが多いです。まずは、できるだけ少ない工数で成果がでやすい「検索順位20位以内まで」を目安に、リライトに着手するのがおすすめです。CTR(クリック率)はどのくらいか? 次に、検索順位20位以内の記事の中で、CTR(クリック率)を確認しましょう。CTRは「クリック数÷表示回数」で計算され、サーチコンソールから確認することができます。CTRは、検索エンジンに表示されるタイトルとディスクリプションの内容に左右されます。以下の青い太字の箇所がタイトルで、その下の文章がディスクリプションと呼ばれます。CTRが高いかどうかは、以下の検索順位ごとの平均CTRを参考に判断します。順位CTR131.01215.4438.645.4953.6862.5871.8781.4291.11100.9110.8120.82130.86140.81150.71160.64170.59180.55190.53200.48 参照:GOOGLE ORGANIC CTR HISTORY(International)|Advanced WEB RANKING(2021年) もし平均CTRより著しく低い場合、あまりクリックされていないということなので、今後順位が下がっていく可能性も高く、リライトを検討した方が良いでしょう。また、10位以下でもCTRが高い場合、検索順位が上がればより多くの流入数が見込めるキーワードであるため、検索順位を高めるためのリライトが効果的です。検索順位が1〜3位でCTRも高い記事は順調であると言えますが、最後のポイントである直帰率をGoogleアナリティクスで確認しましょう。GA4に移管している場合は、エンゲージメントの指標を参照してみてください。直帰率(エンゲージメント)は高くないか? 検索順位が高くクリックされていたとしても、記事を一瞬だけみて離脱されていては意味がないですよね。それらを確認するための指標が、直帰率またはエンゲージメントです。記事の直帰率は基本的に高く、平均で80〜90%とも言われています。直帰率90%以上の場合、記事内容の充実や回遊性を高めるためのリライトがおすすめです。もし他記事の回遊やCTAを目的としていない場合、GA4のエンゲージメントの指標を確認するとより正確です。GA4について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。>>5分でわかる「GA4:Googleアナリティクス4」現在との変更点を今からチェック!インパクトの大きさ ここまで、記事の現状にもとづいたリライト記事の選定基準をお伝えしましたが、記事の「インパクトの大きさ」も確認する必要があります。 つまり、その記事が上位表示もしくは流入増加した際に、どのくらいのインパクトがあるかということです。具体的には以下の2つを見ていきます。 顕在層のCV(コンバージョン)獲得率 キーワードの検索ボリューム 顕在層のCV(コンバージョン)獲得が見込めるキーワードか? まず重要なのは、顕在層のコンバージョン(CV)の獲得が見込めるかどうかです。SEO記事は、潜在層向けか顕在層向けかの2種類に分かれることが多いと思います。例えば経理システムを提供している企業であれば、「経理システム クラウド」のキーワードを狙った記事は、経理システムの導入を検討している顕在層向けの記事と言えます。一方「電子帳簿保存法」のキーワードを狙った記事は、経理に携わっている可能性は高いもののサービスニーズは分からず、潜在層向けと言えるでしょう。このように顕在層向けのキーワードであれば、よりサービスに近いCVを見込むことができ、事業の売上に対するインパクトも大きいことがわかります。先ほど、検索順位20位以内までのものから着手すると良いとお伝えしましたが、顕在層向けの記事に関しては、必ずしもその限りではありません。 検索ボリュームは大きいか? 次に、キーワードの検索ボリュームについてです。検索ボリュームが大きいということは、上位表示できれば多くの流入数が見込めるということであり、インパクトも大きいと言えます。一般的には月間検索ボリュームが5,000以上であればビッグワードと言われますが、専門性の高い業界であれば検索ボリュームも小さくなる傾向にあるため、一概には言えません。自社で狙っているキーワード群と比較して、ボリュームの大きさを判断しましょう。なお、顕在向けのキーワードの方が検索ユーザーの母数が少ない傾向にあります。そのため検索ボリュームの大きさを判断する際には、顕在向けと潜在向けとで記事をグルーピングして分けて考えると良いでしょう。例えば、先ほど例に挙げた経理システムを提供している企業が、以下のキーワードを狙っている記事があるとします。・電子帳簿保存法:72,400 ・法人税申告書:2,320 ・税務会計とは:208 ・経理システム クラウド:40 ・会計ソフト 選び方:24 検索ボリュームを見るとその差は明確ですが、顕在層向けも潜在層向けも混ざっているため、単純に比較することはできません。潜在層向け/顕在層向けで分けるとすれば以下のようになるでしょう。<潜在層向け> ・電子帳簿保存法:72,400 ・法人税申告書:2,320 ・税務会計とは:208 <顕在層向け> ・経理システム クラウド:40 ・会計ソフト 選び方:24 もし他にリライト記事の候補がない場合、「税務会計とは」よりも「経理システム クラウド」の方が優先度が高いと判断できるかもしれません。 以上、「記事の現状」と「インパクトの大きさ」の2軸を掛け合わせて、リライトする記事を選んでみてください。目的別に見るリライトの方法 どの記事からリライトしていくべきか、イメージは掴めましたでしょうか。最後に、具体的なリライトのポイントをお伝えします。 リライトする目的によってポイントや方法が異なるため、目的別の3パターンに分けてご紹介します。検索順位をあげるためのリライト まずは、検索順位をあげるためのリライト方法です。リライトの目的の中でも、一番多いのではないでしょうか。対象になるのは、検索順位が低く、10位以内に入っていない記事です。検索順位をあげるためには、検索するユーザーのニーズに応えられているかどうかの観点で、タイトルや本文を見直していきます。まず、ユーザーが知りたい内容を網羅的にカバーできているかを確認しましょう。上位表示されている競合ページと見比べて、足りていない情報がないかを洗い出します。もちろん全ての内容を入れる必要はなく、あくまでユーザーが知りたい情報かどうかを判断基準にしてください。とはいえ、他の競合ページと全く同じ内容だとユーザーにとって価値がないため、自社ならではの独自性の観点も盛り込めるとよいでしょう。CTR(クリック率)をあげるためのリライト 次に、CTR(クリック率)をあげるためのリライト方法です。対象は、検索順位が1〜10位であるもののCTRが低い記事です。クリックされていないということは、検索結果で表示される情報に問題があると言えます。そのため、タイトルとディスクリプションの見直しが必要です。ユーザーが知りたい情報は何かを考え、より魅力的なタイトル・ディスクリプションに修正しましょう。他の上位表示記事のタイトルを参考にしてもよいですが、その記事も実際にクリックされているかは分からないため、あくまでユーザーニーズ起点で考えるようにしましょう。ただし、タイトルの修正だけが先行し、中身の本文と乖離してしまっては結局ユーザーに読まれない記事になってしまいます。タイトルと本文の連動も意識し、場合によっては内容も合わせて更新しましょう。直帰率を改善するためのリライト 最後に、直帰率(エンゲージメント)を改善するためのリライト方法です。対象になるのは、検索順位もCTRも高いものの、直帰率が高い記事です。これには、2つのケースが考えられます。一つは、タイトルに惹かれてクリックしたものの、求めている情報がなさそうだと判断されてすぐに直帰してしまうケースです。この場合、タイトルで伝えている内容が本文に十分反映されているか、それがリード文や目次で伝えられているか、知りたい情報までの前段が長く結論が分からなくなっていないか、といった観点で内容を見直してみてください。またもう一つ、記事の内容自体には満足したものの、他記事への回遊やCVへの誘導が浅く、そのまま離脱してしまうケースもあります。記事の目的にもよりますが、回遊やCVを目的とする場合は、関連記事のレコメンドを出したり、CVまでのストーリーを見直したりすることが有効です。まとめ リライト記事の選定基準と優先順位、また目的別のリライトの方法をお伝えしました。改めてポイントをまとめます。まずリライト記事の選定基準・優先順位は、「記事の現状」と「インパクトの大きさ」の掛け合わせて見極めます。記事の現状は、3つの指標を順番に見ていきます。検索順位CTR(クリック率)直帰率(エンゲージメント)インパクトの大きさは、2つの観点で判断しました。顕在層のCV(コンバージョン)獲得率キーワードの検索ボリュームまた目的別のリライトに関しては、それぞれ以下の方向で修正してみてください。検索順位を上げるためには、タイトル・内容の見直しCTRを上げるためには、タイトル・ディスクリプションの見直し直帰率(エンゲージメント)を改善するためには、タイトルに合わせた内容の見直し本記事のおさらいは以上です。ピクルスブログでは、今回のテーマ以外にもオウンドメディア運営/SEO対策にまつわる記事を公開しております。もしご興味がございましたら、ぜひ他の記事もお読みください。>>オウンドメディアとは?成功事例から考える自社メディアを持つ意義。>>テクニカルSEO/コンテンツSEOの使い分け|成果の出るSEO対策のポイントを徹底解説>>意外と知らない「YMYL」「E-A-T」|SEO対策で重要視される信頼性を獲得するために