本ブログをお読みの方の多くは、企業の利益を生み出すために、様々なマーケティング施策に取り組んでいるかと思います。そこで一度振り返ってみてほしいのですが、広告運用やSEO対策など新規顧客の獲得に効果のある施策に注力する一方で、既存顧客の満足度を高める施策をおろそかにされてはいませんか?「言われてみると、自社の商品がどの程度顧客を満足させられているのか分からない…」「そういえば、提供している商品のどんな要素が顧客の心を掴んでいるのだろうか…」と顧客満足度に対する漠然とした疑問をお持ちの方が意外と多いかもしれません。「1:5の法則」というマーケティング用語にもあるように、既存顧客の維持にかかる費用は新規顧客の獲得にかかる費用に比べてグッと抑えられる場合が多いです。特にコロナ禍で何か新しい商品・サービスを購入するハードルが高くなっている今こそ、既存顧客の満足度を上げることに目を向けてみることが大切です。本記事では、顧客満足度の重要性と実際に分析するための「狩野モデル」をご紹介します。自社商品の顧客満足度に対する理解が深まり、既存顧客の維持に向けた施策への後押しとなれば嬉しいです。※当コンテンツは、webマーケティング支援の専門家であるピクルスが提供しています。▼関連記事Webプロモーション、認知拡大には診断コンテンツを!業界別の事例集顧客満足度とは そもそも顧客満足度とは、企業の商品やサービスがどの程度顧客の要求を満たしているかの度合いを表す言葉です。顧客満足度の高低は、顧客が求める期待値に対して、商品・サービスがどの程度応えられているかで変化します。具体例として、ユニクロのヒートテックを考えてみましょう。「だんだん寒くなってきて、温かい素材のインナーを着たい…」という場合にヒートテックを着ますよね。あくまでインナーなので、高価で見栄えが良い必要はなく、出来れば安く購入したいといったところに期待値があると考えられます。ヒートテックに求める期待値の例着ると暖かさを得られる安価である着心地が良い上記を考えてみると、期待している要素に十分応えているユニクロのヒートテックは、顧客満足度が高いと言えます。実際、ユニクロの代名詞とも言えるような大ヒット商品となっています。ここで重要なのは「顧客の期待値を満たす」ということです。衣類全般に対しての期待値としてはおしゃれさや高級感などが考えられます。ただ、ヒートテックは衣類であるもののインナーとして着用するため、おしゃれさや高級感などは求められていないはずです。もしヒートテックが衣類であるからといって、高級でお洒落な商品として開発していたら、今ほど満足度の高い商品ではなかったでしょう。その商品に求められている要素は何なのかを把握し、それを満たすことが顧客満足度においては非常に重要です。顧客満足度とLTV 「顧客満足度を高めた結果、企業の利益にどう結びつくのか?」という質問をよく伺います。その答えとして、顧客満足度を高めることで企業の利益にとって重要な指標の数値が上昇します。それはLTVと呼ばれるものです。LTVとは「Life Time Value」の略で日本語では「顧客生涯価値」とも言われます。自社の商品・サービスを購入した顧客が、取引を終えるまでの期間に自社にもたらした利益の総額を表した指標です。「平均購買単価×平均購買頻度×平均購買期間」で算出されるため、リピーターや新商品を出すたびに購入してくれるようなファンの顧客ほど、数値が高くなります。冒頭でもお伝えした通り、新規顧客の獲得はコストがかかる一方で、既存顧客の維持はコストを抑えつつ利益を生み出すことができます。自社商品・サービスの満足度を高め、既存顧客のLTVを向上させることができれば、少ない費用で安定した売上を確保できるようになるのです。また、新規顧客を獲得する場合でも顧客満足度が高ければ、獲得した新規顧客がリピーターやファンになってくれる可能性が高まります。このことからも顧客満足度の高い商品を開発する、または満足度の高い商品に改善することが効果的であることはお分かりいただけるのではないでしょうか。ここまで顧客満足度の重要性をお伝えしてきました。改めて振り返ると、「自社の商品・サービスは何を求められているのか」「どの要素を強化すれば更に顧客満足度を高められるのか」を明確に理解できている方は意外と少ないと思います。そこで、自社商品の顧客満足度を分析するために役に立つ「狩野モデル」をご紹介します。狩野モデルとは 狩野モデルとは、1980年代に品質管理の専門家である東京理科大学名誉教授・狩野紀明氏によって提唱された顧客満足度と商品の品質の関係を表したモデルです。海外でも「Kano Model」として認知され様々な場面で活用されています。狩野モデルの特徴は、商品に求められる品質を5つに分類し、それぞれの品質における顧客満足度と充足状況(商品が顧客の期待をどれだけ満たしているか)の変化を可視化できる点です。 縦軸が”顧客満足度”、横軸が”充足状況”を表しています。 顧客が求める5つの品質を高めた場合、顧客満足度はどのように変化するのかを示しています。狩野モデルにおける5つの品質 狩野モデルにおける5つの品質について説明を進めていきます。①当たり前品質 当たり前品質とは、顧客にとって「あるのが当たり前」の要素を指します。商品やサービスに備わっているのが当たり前という認識のため、あっても満足度が高まることはありませんが、ない場合は満足度が下がります。 ここで先ほどの狩野モデル図をご覧ください。 「当たり前品質」と書かれた矢印に注目すると、充足状況が低い場合は顧客満足度が低く、充足状況が高まった場合(線上を右側に移動した場合)でも、一定以上顧客満足度が上に伸びることはありません。②一元的品質 一元的品質は、「あれば嬉しい、無ければ不満」と感じる要素を指します。 こちらも狩野モデル図を見ていただくと理解が早いでしょう。 「一元的品質」と書かれた矢印は充足状況が低い場合(線上の左側)は顧客満足度が低く、満たされるにつれて(線上の右側に移動)顧客満足度が上がっていきます。 「当たり前品質」と違う点は、一元的品質が満たされるほど、お客様にも喜んでもらえるという点です。③魅力品質 魅力品質とは、「無くても困らない、あったら嬉しい」要素を指します。 そのため狩野モデル図では、充足状況が低い場合でも顧客満足度は下がりません。 魅力品質の要素はあるだけでプラスの要素だと言えます。 もちろん魅力品質が高まる(線上を右側に移動する)につれて顧客満足度も高まります。④無関心品質 無関心品質とは、「あっても無くても、顧客満足度には影響が無い」要素を指します。 狩野モデル図上では、満たされても満たされていなくても顧客満足度に変化はありません。 他社との差別化を目指して、ある要素に力を入れて改良したものの売上が変わらない場合、その要素は顧客にとっては無関心品質に当てはまるという事です。⑤逆品質 逆品質とは、「あればあるほど、顧客満足度が下がる」要素を指します。 狩野モデル図の「逆品質」と書かれた矢印を見て頂くと、充足状況が高まる(要素が満たされて線上を右側に移動)すればするほど顧客満足度は下がっていきます。 つまり、この要素は顧客に求められていないどころか、力を入れれば入れるほど満足度が下がってしまうのです。狩野モデル5つの品質についてご紹介した所で、先ほども登場したユニクロのヒートテックを例に、狩野モデルを活用して顧客満足度の分析をしてみます。①当たり前品質・・・簡単に破れない、洗いやすい素材②一元的品質・・・冬でも温かい、価格がとても安い、着心地が良い③魅力品質・・・購入可能な店舗が多い、ユニクロという安心感「①~③」はユニクロがヒートテックの満足度を維持・向上させるために取り組んできた内容だと言えるでしょう。以下は「もしヒートテックがこうなったら」という仮説を考えてみたものです。④無関心品質・・・既存のカラーに加えて更に10色の追加、ポケットの追加⑤逆品質・・・派手で、着る人を選ぶようなデザインあまりこうなっても購入者が増えなさそうなのは、イメージが湧くのではないかと思います。この例の簡単なまとめとして、衣類の満足度には素材、価格、ブランド、購入のしやすさなどが影響します。それぞれの要素において顧客が求める期待に応えつつ、更にあると嬉しい要素が多いヒートテックはヒット商品になるべくしてなったと言えそうです。狩野モデルをマーケティングに活用するメリットとは ここまでのお話で狩野モデルについて理解が少しでも深まったのなら嬉しいです。続いて、狩野モデルをマーケティングに活かすメリットをご紹介します。メリット1 自社商品と競合商品の比較、分析をする場合の解像度が上がる 自社商品と競合商品を比較する際、多くの場合は3C分析や4P分析などマーケティングのフレームワークを活用するかと思います。 ただ、これらのフレームワークは顧客像などを含めた全体的な分析には優れていますが、商品の品質や顧客満足度の解像度はあまり高くありません。 さらに詳しく自社商品・競合商品の品質や顧客満足度を分析する場合は、狩野モデルを活用する方が解像度が上がるためおすすめです。メリット2 客観的に自社商品を分析することで改善ポイントの優先順位が明確になる 既存商品を改良する場合や新商品を開発する場合に、「何から手を付ければ良いのか分からない」と悩むマーケターも多いでしょう。下手に無関心品質や逆品質に力を入れてしまうと、費やしたリソースが無駄になってしまいかねません。狩野モデルの5つの品質はそれぞれに取り組むべき順番が定められており、(取り組む優先順位が高い)①当たり前品質②一元的品質③魅力品質④無関心品質⑤逆品質(取り組む優先順位が低い)となっています。狩野モデルを活用し、「どんな要素を伸ばせば顧客満足度が高まるのか?」「今の商品ではどの品質を満たせていないのか?」を明確にすることで効率的に顧客満足度を高める施策に移れます。顧客満足度の向上に役立つ施策 狩野モデルを活かした商品の改良に加え、SNSキャンペーンや診断コンテンツを利用することで顧客満足度を高められます。SNSキャンペーンとはSNS上で「フォローしてくれた方の中から、抽選で何名様に自社商品をプレゼント!」といった投稿を行う施策です。定期的なキャンペーンで自社商品やクーポンのプレゼントを行えば、既存顧客の満足度を高め継続利用を促進できるだけでなく、投稿の拡散によって新規顧客の獲得まで行えます。LTV向上に効果的なプレゼントキャンペーンについては、下記で解説しています。 >>SNSキャンペーンで成果を出す!3つのプレゼント選定方法とは。また、ユーザーがいくつかの質問に答えることで、回答に応じた結果を表示させる「診断コンテンツ」も、顧客満足度の向上に一役買います。例として、BtoBであればピクルス制作の「キャンペーン企画診断」が挙げられます。こちらは質問に答えることで課題に応じたSNSキャンペーンの種別がわかる診断です。企業のSNS運用担当者にとってのお役立ちコンテンツであり、こういったコンテンツをメルマガ等で配信すれば既存顧客にも喜ばれます。(弊社では実際に、診断でメルマガの開封率が上がりました)BtoCであれば、「あなたにおすすめの商品はこちら」といった商品レコメンドを診断で行うのがおすすめです。ECサイトなどにレコメンド診断を設置して、顧客のニーズに合わせた商品を提案することで、顧客満足度が高まります。 >>売上が上がる「商品レコメンド診断」業界別の活用事例を紹介まとめ 新規顧客の獲得はもちろん企業の利益を生むために欠かせませんが、既存顧客を維持する施策も同じくらい重要です。既存顧客の維持には顧客満足度を高めることが重要であり、自社商品の品質を知ることが第一歩と言えるでしょう。また、顧客満足度向上の施策としてはSNSキャンペーンや診断コンテンツも有効です。ピクルスではキャンペーンツール「キャンつく」や、診断作成ツール「ヨミトル」を提供しています。お困りの方はお気軽にお声がけください。▼関連記事Webプロモーション、認知拡大には診断コンテンツを!業界別の事例集