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事例から学ぶマーケティングオートメーション(MA)!ツールの種類や機能、導入時の注意点を解説。

少しでもマーケティングに触れたことのある方なら「マーケティングオートメーション」という言葉に聞き覚えがあるのではないでしょうか?BtoC、BtoB関わらず、近年多くの企業が導入して注目を集めているのがマーケティングオートメーションです。

更新日:2023/08/03

少しでもマーケティングに触れたことのある方なら「マーケティングオートメーション」という言葉に聞き覚えがあるのではないでしょうか?
BtoC、BtoB関わらず、近年多くの企業が導入して注目を集めているのがマーケティングオートメーションです。
しかし、具体的になんの役に立つの?どうやって導入するの?といったところまで理解されていない方が意外と多いかもしれません。

今回は、マーケティングオートメーションができることやメリット、さらには導入時に注意すべきポイントまで解説していきます。

マーケティングオートメーションが流行するわけ

マーケティングオートメーション(Marketing Automation)とはその名の通り、マーケティング活動を自動化する仕組みのことです。
略して「MA」と呼ばれることが多いので、ここからはMAと表記しますね。

MAを実現するためには、各社が提供しているツールを使うことになります。
Salesforce社のMarketing CloudやPardot、Adobe社のMarketoなどが有名です。

その市場規模は年々増大しており、2020年には約450億円規模の市場となりました。

多くの大企業が導入し始めており、まさに今後のマーケティング活動において不可欠な存在になりつつあります。

それではまず、MAがここまで流行した背景について時系列でご説明しましょう。

個人用のPCやスマートフォンが普及する以前、マーケティングといえば「マスマーケティング」が主流でした。テレビや新聞、ラジオなどを通じ、マス(大衆)に対して広告を打つ手法です。

認知拡大という意味で世間に大きな影響を与えられるメリットがある一方、多くの人の目に触れるようにするためには莫大な費用がかかります。

さらには広告の内容は個人個人に合わせたもの(パーソナライズされたもの)ではないため、広告を見ても購入しない人の割合が高く、無駄打ちとなり費用対効果が見合わないケースも多いです。

例えば女性用の化粧品をテレビで流したとしても、男性には見向きもされないでしょう。

そして時代は流れ、PCやスマートフォンの普及と共にIT技術が発達すると、企業とユーザーとの接点がどんどん増えていきました。

電話やメール、そしてスマートフォンの通知やLINEなどのSNSを通じて、企業はユーザーにアピールすることができるようになります。

それらのタッチポイントは、テレビなどの消費者全体へのアプローチと異なり「顧客一人ひとり」に対するものですよね。つまり、各ユーザーの嗜好やライフスタイルに合わせたパーソナライズされた告知・情報提供をすることが可能になったのです。

こういったマーケティング手法を「One to Oneマーケティング」と呼びます。

その人の興味がある内容のメッセージを正確に送ることができれば、ページを開いてくれたり購入してくれたりする割合は高くなり、さらに無駄なメッセージを送る費用も削減できます。

「顧客それぞれにパーソナライズされたメッセージを送りたい」という企業の願いを叶えるのがMAであり、それを実現するための手段がMAツールなのです。

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MAツールの役割と機能

ではここからはMAツールの具体的な役割や機能を見ていきます。
まずMAツールの主な役割として、以下の4つが挙げられます。
 
MAツールの役割と機能

MAツールには、それぞれの役割を果たすための機能が充実しています。
順番に見ていきましょう。

1.見込み顧客の獲得

MAツールが真の価値を発揮するのは「2.見込み客の育成」以降なのですが、その前段階である「獲得」フェーズをサポートする機能も存在します。

機能としては以下の2つです。

・フォーム、LP作成機能
・データ取り込み機能

MAツールには、フォームやLPをシステム上で比較的簡単に作成できる機能が備わっています。例えば、フォームを一から作成するにはWeb制作やデータベースの知識が必要となりますが、MAツールを活用すればフォーム作成からデータ収集まで容易に行うことが可能です。

またMAツールで作成したフォームであれば、具体的にどの顧客がどんな経路で登録したのかを追跡することもできます。さらにはSEOやLPの最適化(LPO)機能を有したMAツールも存在するので大変便利です。

続いてデータ取り込み機能ですが、MAツールはCRM(顧客管理)システムやSFA(営業支援)システムとの連携機能が豊富です。

自社で保有している顧客データをCRMやSFAで管理している場合は、MAツールと連携させることで、顧客のデータを整理・集約することができ、すぐにMAを活用することができます。

既存のデータをフル活用しつつ、フォーム・LPを使って新規の見込み顧客も獲得していきましょう。

2.見込み顧客の育成

獲得した見込み客を購入する可能性の高い優良顧客に育てることが、MAツール最大の役割といえます。

その際に役立つ機能としては、

・顧客のセグメンテーション
・マルチチャネルでのコミュニケーション
・シナリオ配信

という3つが挙げられます。

まず最初の「顧客のセグメンテーション」とは、顧客の情報を元にグループ分けを行う機能です。
例えば「10代〜20代の男性」「30代〜40代女性」といったセグメントに分けて、それぞれの属性に適したメッセージを送ることで、開封率やクリック率、CV(コンバージョン)率の上昇が見込めます。

セグメンテーションの解像度(細かさ)は、保有している顧客情報に依存します。

BtoCであれば「年齢・性別・所在地・年収・仕事内容」、BtoBであれば「業界・従業員規模・売上高・採用人数」など、MAツールで作成したフォームを通じて多くの情報を収集できると、より細かいセグメントができるようになります。

一方で、フォームの項目数が多いほど回答負荷が高まり、結果として離脱率も上がる可能性があります。その点は注意してフォームの項目を設計しましょう。

また、「自社サイトを誰が何回訪れ、どのページを見たのか」なども後述するトラッキング機能で分かるので、そうしたWeb上の行動をもとにセグメントもできます。

続いて「マルチチャネルでのコミュニケーション」とは、複数のチャネルを用いてメッセージを送る機能です。

冒頭でも述べましたが、IT化が進んだことにより顧客と企業の接点は非常に多くなりました。

広く用いられているメール(EDM)意外にも、スマートフォンのプッシュ通知、LINE、SNSの通知など、様々な手段を用いて顧客にメッセージを送ることができます。

中には、Webページのバナーを顧客によって出し分けられるMAツールも存在します。

そして最後に挙げた「シナリオ配信」ですが、ここでいうシナリオとは「どうやって顧客を購入に導くか」という道筋を指します。

とある商品を売りたい時、「どういったユーザーにどういうタイミングでどんなメッセージを送れば購入を促せるか」を設計しMAツールに実装すれば、ツールが自動でメッセージを顧客に届けてくれます。

カートに商品を入れたまま購入していないユーザーにメッセージを送る、以下のような「カート放棄シナリオ」が有名な例です。
 
カート放棄シナリオ

これを手動で行おうとすると管理がとてつもなく煩雑ですが、MAツールを用いればコードを書かずに簡単に実装・自動化することができます。

3.見込み顧客の評価

MAツールには、サイトのトラッキング機能やメールの開封率・クリック率の測定機能が備わっています。これらの数値を元に、顧客の評価を行うことが可能です。

具体的には、シナリオの実施を経て顧客の関心がどれほど高まったのか数値化します。

メールを閲覧した顧客には+5ポイント、資料請求した顧客には+10ポイント、あるいはしばらくメールを見ていない顧客は-5ポイントといった具合です。

定量的に評価を行うことで、例えば「スコアが低い顧客にはさらに商品の良さを訴求するメッセージを送信する」「スコアの高い顧客には、購入前の疑問点を解消するメッセージを送信する」といった出しわけが可能となります。

また、スコアの高い顧客の情報を営業部門に連携し、直接アプローチするという施策も効果が高いのでオススメです。

全ての顧客に直接営業をかけていると、ニーズのない顧客にもアプローチすることになり無駄な工数がかかるため、成約可能性が高い顧客に絞って営業するというわけです。

導入したての段階だと「どの行動が何ポイントか」「何ポイントに達成すれば、スコアが高いとみなせるのか」といった基準が不明瞭かと思います。

正直ここはMAツールを運用する上での躓きポイントであり、トライアンドエラーを繰り返すしかないところです。

そのため最初からガチガチに詳細のスコア設定をしても結局は見直すことになります。

初期段階では大雑把で構わないので運用スタートすることを第一優先にして、その後PDCAを繰り返し、着実に精度を上げていくようにしましょう。

4.マーケティング効果の分析

ただシナリオを実装して満足しているだけでは、そのシナリオが本当に効果的だったのかを評価することはできません。

MAツールには分析機能が充実しているので、どのメッセージがどれだけユーザーの興味を引けたのか、そのシナリオがどれだけマーケティングの成果に寄与したのかを可視化することができます。

PDCAを細かく回し、シナリオの改善を短いスパンで行っていくことが重要です。

さらに、レポート機能が充実していることもMAツールのメリットの一つです。

部門外のマーケティング知識がないメンバーに情報を共有する際、施策の効果が一目でわかりやすいレポートを提出できれば、コミュニケーションロスを大幅に削減できます。

機能がこれでもかというほど充実しているので、必要なレポートのみを取捨選択するようにしましょう。

MAツールには、以上4つの役割とそれを実現する豊富な機能が備わっています。

メリットをまとめると、

・CRM、SFAと連携することで、顧客情報を統合することができる
・複雑なコーディングをせずに実装できる
・適切な時間に適切なセグメントに適切なチャネルでメッセージを送ることができる
・マーケティング施策の効果を定量的に測定できる

といったことが挙げられます。

ぜひ、日々の業務の中でMAツールを使って改善できそうな点がないか探してみてください。

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MAツールと事例の紹介

さて続いて、具体的なMAツールとそれぞれの事例をご紹介していきましょう。

それぞれBtoB向けのツール、 BtoC向けのツールに分類されていますので、使用用途に合わせて導入するツールを検討してみてください。

①Salesforce Marketing Cloud

【用途】
BtoC向け

【概要】
SFAのビッグカンパニー・Salesforce社が提供するMAツールです。
前述したMAツールの機能をほとんど有しており、カスタマイズ性にも優れています。
マルチチャネルでシナリオ配信を行いたい時には最適なツールと言えるかもしれません。

近年では「Einstein」というAIを用いた分類機能も登場しており、常に進化を続けているツールです。

またSalesforceは他にも様々なツールを提供しているので、それらとMarketing Cloudを連携することでマーケティングの効果をさらに高められます。

Salesforce製品と一緒に使用したい場合、Marketing Cloudを導入することをオススメします。

なおSalesforceにはPardotと呼ばれるBtoB向けのツールも存在しているため、BtoBマーケティングが目的の場合はそちらを導入するとよいでしょう。

【事例】
株式会社カインズ
https://www.salesforce.com/jp/customer-success-stories/cainz/

日本全国に展開するホームセンター・カインズ。
Marketing Cloudを使用した同社のアプリ「カインズアプリ」では、デジタルとリアルのコミュニケーションを相補的にカバーし、顧客のストレスを減らすことに成功しました。

例えば、顧客がアプリで商品を注文し、その後店舗の駐車場に車を停めると、店員が車までその商品を届けてくれるサービスがあります。
他にも、店舗内のどの棚に商品があるのか表示してくれたり、DIYイベントへの申込もできるなど、リアル店舗の良さを最大に生かしたカインズならではの施策を多く実現しています。

リアルだけだとストレスフルでも、デジタルだけだと満足できない。
そんなジレンマを、Marketing Cloudを使って解消しているのです。

②Marketo Engage

【用途】
BtoC、BtoBともに対応

【概要】
Adobe社が提供するMAツールで、トップクラスの国内シェアを誇ります。

機能の充実性に優れており、SNSやデジタル広告を使った情報提供も可能です。
さらにはSEOの分析機能もあるため、包括的なマーケティングを行いたい場合は真っ先に導入を検討すべきツールでしょう。

外部システムとの連携機能も充実しており、カスタマイズ面も十分です。
Salesforce Marketing Cloudよりも実装難易度が若干低いため、初めてMAツールを導入する場合はうってつけと言えるかもしれません。

【事例】
株式会社日立製作所
https://jp.marketo.com/customers/hitachi.html

営業活動において、長期的な顧客の育成にMarketoを活用しています。
BtoBサイトにおいても、BtoCサイトのようにパーソナライズされたレコメンド機能を実装することで、ユーザビリティの向上を実現しようとした同社。

コーポレートサイトに訪れた顧客に合わせて表示内容を最適化できるようになり、クリック率の向上に成功しました。

Web上での顧客の動きを分析しWebページをパーソナライズすることで、ユーザーの求める情報をこちらから提案できるようになったという、非常に参考になる事例です。

③HubSpot Marketing hub

【用途】
BtoC、BtoBともに対応

【概要】
HubSpot Japan株式会社が提供するMAツールです。
海外ではNo.1のシェアを誇っており、中小企業を中心に根強い人気を誇ります。

驚くべきことに、CRM機能が無料で使用できます。
そして有料機能も他のMAツールと比べ、費用が比較的安いのが特徴です。
そのため「とりあえずHubSpotを入れておこう」という企業もいらっしゃいます。

Marketoと同じSEOの分析機能に加え、ブログ機能もあるのでコンテンツ作成機能が豊富です。そのほかSNS、広告管理機能も備わっているため、これ一つでマーケティングに必要な機能が揃ってしまいます。

同社の営業支援ツール「Sales hub」や顧客データの一元管理ツール「Service Hub」と連携することで、さらに効果を高めることができます。

【事例】
株式会社コンベックス
https://www.hubspot.jp/case-studies/comvex-kk

コールセンター向けの支援システムを提供するコンベックス。
以前はリスティング広告やダイレクトメール、テレアポといった「企業から顧客へのアプローチ」(アウトバウンドマーケティング)が主でした。
しかし、費用対効果の薄さや新規顧客の増加率低下などに悩まされ、新しい手法を探している時に出会ったのがHubSpotです。

コンベックスがHubSpotで実現しようとしたのが、顧客の興味を引きつけて自分から申込を促す「インバウンドマーケティング」。

コンテンツを最適化する機能を用いてLPを制作することでよりユーザーの興味を引きつけたり、見込み顧客となった訪問ユーザーにメルマガを送ったりと、アウトバウンド・インバウンドを組み合わせたマーケティング戦略を展開しました。

その結果、見込み客数は1.5倍、自社セミナーの集客数は1.7倍と、目に見えた成果が現れたそうです。

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MAツール導入時の注意点

ここまでの説明を見て「自社でもぜひ導入したい!」と興味を持っていただけたら嬉しい限りです。しかし導入する前に注意しておくべきポイントがいくつかありますので、最後に確認しておきましょう。

①MAツール導入が目的化しないように注意

強い期待を寄せるあまりMAツールを導入すること自体が目的化してしまうことがよくあります。MAツールは決して魔法の道具ではないので、導入しただけで課題が解消することはありません。

真の目的は、MAツールを使いこなし、OnetoOneマーケティングを実現させ、売上を伸ばすことです。

それを叶えるために、導入して施策を打ち出した後も効果をモニタリングし続け、改善を繰り返しましょう。

②顧客データの管理方法が確立されている必要あり

当然、顧客のデータが揃わなければメッセージを送信することはできません。

いろんな部署が様々な方式で管理している顧客データを、どうやって集計し統合するのかも十分に検討する必要があります。

また、個人情報保護の観点から顧客データの使用に制限がかかる場合もあります。
他部署と連携し、社内にある顧客データの管理方法をクリアにさせてからMA施策に取り組むようにしましょう。

③知識・運用工数が必要

MAツールは機能の充実性に優れ、慣れればカスタマイズして複雑な施策を打つことも可能ですが、慣れるまで時間がかかるという側面もあります。

コーディングの知識がないメンバーでも使えるとはいえ、社内にMAツールの使用経験のあるメンバーがいない場合は、導入に想定以上の工数がかかるかもしれません。

そういった場合は、ITベンダーに導入や管理、運用などを依頼するのも一つの手です。もちろん、いつまでも運用を外部委託するわけにはいきませんので、ツール提供会社の勉強会に参加したり、ベンダーから使用方法を教わったりと、社内に活用できるメンバーを増やしていきましょう。

また配信の自動化機能が充実していると言っても、設計や実装の見直しには多大な労力がかかります。導入時だけではなく運用フェーズでも工数が必要となるので、それを踏まえた体制を整えましょう。

④コンテンツの準備が大変

当然、配信するコンテンツがなければ配信できません。
EDMだけではなく、EDMから誘導するLPも制作する必要があります。

何もノウハウがない状態で、一から成果の出るLPを作るのは大変です。社外の知見や協力を仰ぎながら、MAの効果を最大化できるようコンテンツを準備していきましょう。

ちなみに、LP制作はピクルスの得意とする分野です。
MAに手を出したいけどページ制作の知見がない…という方は、ぜひ一度ご相談ください!

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まとめ

ここまで、MAツールの魅力についてお伝えしてきました。
MAツールにはOne to Oneマーケティングを実現するための様々な機能が備わっていますが、導入・運用には盤石な体制が必要となります。
データの管理方法から運用ルール、さらにはLP制作のフローまで、取り決める内容は様々です。

複数の部署を横断した対応が必要なので、準備は大変かもしれませんが、それさえクリアできれば、新時代の顧客起点マーケティングの実現は目の前です。

MAの扉を開き、課題解決へ一歩ずつ近づいていきましょう。

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ライター:ピクルス スタッフ

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