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マーケティングにペルソナを活用する効果とは?よく聞く3大疑問にズバッと回答

代表的な顧客イメージを一人の人物として視覚化・言語化したものが「ペルソナ」です。この記事では、マーケティングにペルソナを活用するの効果や疑問、ペルソナ作成のためのプロセス、評価方法、そしてペルソナをブランドの一部にまで発展させた事例についてご紹介いたします。

解説:荒尾 康宏(あらお やすひろ)

経営・マーケティングコンサルタント

ヘルスケア業界にてグローバルマーケティングに10年以上従事、プロダクトマネージャーも務める。現在は、中小企業診断士として製造・流通業などのマーケティング及び営業コンサル業務に従事する傍ら中小企業の役員も務める。

「マーケティング戦略を実行に移したものの、ターゲット顧客を十分に引き込むことができずに想定していた目標になかなか到達できない」

マーケターであれば一度は味わったことのある経験かもしれません。

そんなとき、
・メッセージの訴求が悪いのか
・価格設定が間違っているからシェアを取れないのか
・当初設定していたターゲット顧客のニーズ自体を読み間違っていたのではないか
などと思い悩んでしまうことも多いはずです。

この記事では、そんな袋小路に迷い込まないために必要となる、ペルソナを軸にしたマーケィング活動をご紹介します。

ペルソナとは何か

ペルソナとは、「代表的な顧客イメージを、年齢や居住区などの基本属性と生活パターンや価値観、ライフスタイルといった行動特性を掛け合わせて、個人レベルまで落とし込み言語化、視覚化したもの」のことです。

代表的な顧客イメージと聞くと、セグメンテーションやターゲティングをイメージする方も多いと思います。まず、最初にセグメンテーション、ターゲティングとペルソナの違いや関係を明確にさせておきましょう。

セグメンテーションは、市場細分化とも呼ばれており、年齢、性別、地域、家族構成、学歴などの人口統計的な変数(デモグラフィック変数)と価値観、ライフスタイル、パーソナリティといった心理的変数(サイコグラフィック変数)を掛け合わせて分類したものです。

ターゲティングとは、セグメンテーションによって細分化された市場セグメントから「誰を顧客とするのか」を決めることです。ターゲット顧客の選択は、定量的・定性的なデータの分析の裏付けによって絞り込まれます。

前述の通り、ペルソナとはターゲット顧客の中から抜き出された「典型的な顧客像」のことを言います。顧客を把握するための重心の掛け方がセグメンテーションとは異なります。統計上の分析データよりもひとりの人に注目し、観察やヒアリングを通して、行動や精神、生きがいなどを描き出すことに重きを置いています。

ペルソナ例

マーケティングにペルソナを活用する効果とは

ご説明した通り、セグメンテーション・ターゲティングとは異なるペルソナですが、マーケティングに活用することで3つの効果を期待できます。

1つ目は、顧客視点の真のニーズを把握しやすくなることです。最大公約数的なセグメントのニーズはどうしてもぼやけてしまいます。一人に絞り込むことでよりクリアなニーズが見えてきます。

2つ目は、ペルソナが商品・サービスを認知して検討・購入するまでの流れを「カスタマージャーニー」に描くことで、顧客との接点であるタッチポイント毎に効果的なマーケティング施策を打ち立てることができるということです。

どこでその商品・サービスに出会い、誰のどんな情報に影響を受けて購入を決定し、どこで誰におススメするのかを明確にすれば、その人に向けた効果的なマーケティング施策を実行できます。

カスタマージャーニーマップについては別記事で解説しています。

3つ目の効果として、ペルソナはブランドの一部となるブランドパーソナリティにまで成長させることができます。ブランドパーソナリティとは、そのブランドから連想される人間的な特徴の組み合わせのことです。この点については、最後の事例の中で詳しくご説明します。

ご自身の家族など身近な誰かのことを思い浮かべてください。配偶者やお子様、恋人、ご両親などにサプライズでプレゼントをあげたいと思ったとします。当然、その人の好みや最近の興味などを思い浮かべて喜んでもらえそうな贈り物を考えるはずです。

ペルソナは、親しい人にプレゼントを贈るときのように、その人が喜ぶことは何かを考える起点となってくれるのです。

一方で、ペルソナを設定せずにセグメンテーションとターゲティングの概念だけでマーケティング施策を推し進めると視点がぼやけて期待した効果を得ることができないということがあります。

同じ年齢、趣味、学校や会社の友人などを例に考えてみましょう。その人はマーケティング視点で見るとあなたと同じ顧客層ということになります。でも、友人の購買行動が自分と同じとは決して思わないはずです。

このように同じ属性というだけで一括りにすると本質的な顧客ニーズまで掘り下げることが難しくなるのです。だから、一人のイメージに絞り込んで検討した方がよりニーズにそったアプローチが可能となるのです。

ペルソナマーケティング作成における3大疑問

3つの効果をご紹介しましたが、ペルソナについて、以下のような疑問を持たれる人がいるかもしれませんので、それぞれ解説していきます。

疑問1:ペルソナを設定するとターゲットが狭まってしまうのではないか?
疑問2:ペルソナはどうやって設定する?
疑問3:ペルソナは一人でいいのか?

疑問1:ペルソナを設定するとターゲットが狭まってしまうのではないか?

ぼんやりとしたターゲットではなく、一人の具体的な顧客の顔が思い浮かぶようなペルソナを設定することこそが、マーケティング施策の成果を高める鍵となります。

例えばターゲットを「20代女性」と置いたときの旅行プランのマーケティングを考えてみましょう。

20代女性が旅行に求めるものは何なのでしょうか?

インスタ映えするスポット?美味しいスイーツ?
果たして本当に20代女性全員が求めているのでしょうか。

20代女性の中には、大学生や社会人1年目の新入社員、子持ちの専業主婦など様々な方がいます。さらに子持ちの専業主婦の中にも、夫が単身赴任中の人や地方に住んでいる人、近所づきあいに苦戦している人などそれぞれ求めることが違いそうですよね。

そのため最大公約数的なターゲットへのマーケティング施策はなかなか成果が上がりません。

ペルソナ例

先ほどご紹介した例のように、ここまで具体的にペルソナを設定すると、この加藤さんが旅行に何を求めるのか見えてくるはずです。

ターゲットを絞り込むことに不安を感じる気持ちはとても分かりますが、まずはペルソナとして設定した一人の人に響くような施策を検討したり、キャッチコピーを考えたりすることが大切です。

疑問2:ペルソナは一人でいいのか

疑問1でターゲットを絞り込むことの重要性についてお伝えしました。しかし、先ほどの例だと独身24歳女性の加藤さんをペルソナに設定したので、既婚女性や学生がターゲットから外れてしまうと思った方がいるかもしれません。

そこでおすすめなのが3つのペルソナを作り出すことです。

中心となるメインのペルソナはヘビーユーザーとなる顧客です。そして、そのヘビーユーザーに最も刺激される顧客層が2番目のペルソナ、そしてフォロワー的に影響される3番目のペルソナです。

先の例では金銭的に余裕のある独身女性をメインペルソナとして設定しました。

そのメインペルソナの加藤さんが実際に旅行に行き、その写真や動画をインスタなどに投稿して「私も行きたい!」と思った既婚の20代女性を第2のペルソナとして設定します。

さらに社会人になったサークルの先輩が旅行に行ってプライベートを充実させているのを見て、「私もそういう社会人になりたい」と思う大学3年生を第3のペルソナと設定するのもよいでしょう。

放射状に影響が広がっていく上での第1層、第2層、第3層の中のペルソナを描いてみてください。そうすることで、本来ターゲットとして設定していた20代女性というターゲットが網羅されてくるはずです。

疑問3:ペルソナはどうやって設定する?

ペルソナの設定は、以下の5つのステップをとって、対象とするセグメントの中で様々な差別化ポイントを組み合わせて仕上げていきます。上記の旅行プランを例に説明します。

1 データの収集
定量・定性データの中から差別化のために有用な指標を見つけ出し対象となるセグメントを決定します。

〇旅行プラン設計のためデータ収集
たとえば、先ほどの旅行プランの場合ですと、自社の顧客データの中から対象となりそうな顧客グループの属性(20代、女性)を取り出して、購入頻度やアンケート結果などのデータを集めます。

2 要素の確定
対象とするセグメントに対して、インタビューや観察を通してデータを収集し重要なものを個別に抽出し、関連性の高いもののグルーピングを行います。

〇収集データの分析からセグメントの特定
集められたデータをグループに分類分けします。自社の顧客データを活用してのWebアンケートや数名のインタビューなど追加のデータ収集を検討します。

3 骨格(枠組み)の作成
商品・サービスと関係性の深いものの属性を選び、重要性を基準に並び替えを行います。

〇顧客イメージの絞り込み
ここまでくるといくつかの顧客のイメージが出来上がってくると思います。たとえば、20代女性でも社会人なのか、学生なのか、どんな趣味なのか、好きなブランドは?など、です。

実はここの絞り込みが一番難しいと感じるかもしれません。疑問1で上げた絞り込みによってターゲットが狭まるという心配がその理由です。しかし、ここでメインペルソナの一人を選ぶことが重要です。一人を感動させることができればマーケットは自ずと広がると信じて、自社のブランドにもっともフィットする人はだれかを基準に絞り込んでください。

4 ペルソナ作成
枠組みをもとにストーリーを作成します。ストーリーには生活スタイルや購買行動などが伝わるように簡潔でわかりやすい内容に仕上げます。そして、具体的なイメージを持てるように名前や写真、イラストを使って視覚化を図ります。

〇イメージを膨らませる
絞られた顧客イメージを徹底的に膨らませます。この点で重要なことはどこまで念入りに作りこめるかです。年齢が決まれば、生まれた年の赤ちゃんの名前ランキングを調べたり、職業を決めれば年収イメージなど。詳細に作り上げることで一人の人格へと作り上げます。このようにして出来上がったペルソナが、加藤麻衣子さんです。

5 ペルソナ検証
完成されたペルソナの検証を行います。ここでは元データを確認しペルソナがデータから乖離していないか、ペルソナを裏付ける元データが揃っているか、対象セグメントと同一性があるかといった検証を行います。

上記のようなプロセスを説明すると少し難しく感じるかもしれません。本格的に作成するのであればこのプロセスを順に行っていただきたいのですが、どうしても時間や手間がかかってしまいます。

そこで、比較的簡単にペルソナ作成に着手する方法をご紹介します。
それは、ペルソナワークショップです。

ペルソナワークショップとは?

マーケティングメンバー、営業、カスタマーサポートなど顧客と接点のある社員が集まって、顧客像を話し合い、それを一人の人物にまで作り言語化・視覚化するのです。

できるだけ部門横断でプロジェクトメンバーを選出することで多角的に意見を収集することが期待できます。ターゲットセグメントの属性データは事前資料として共有した上で、各自がイメージする代表的顧客の価値観やライフスタイルなどを自由に語り合います。あくまでイメージですから事実かどうかは問題ではありません。

顧客と接している中で、家族構成や住んでいる場所、マンションか一軒家か、どんな車に乗っているか、どんな動画サイトを見てそうか、趣味、毎月のお小遣いなど、プロジェクトメンバーで語り合い、一人の人間像を形作っていきます。

各自が接している顧客とは違う一面を他部署のメンバーから聞くことで新たな発見をすることもあるでしょう。ペルソナ開発ワークショップを社内で実施することはメンバーに顧客のことを真剣に考える時間を与えてくれるという点でも非常に有益です。

一方で、注意しなくてはならない点もあります。それはバイアス(偏見)です。部門横断のメンバーでも同じ会社で働く社員です。良くも悪くも社風の中で知らぬ間に植え付けられた価値観は本人が気づかないうちにしっかりと根付いているものです。

ルビンの壺という絵があります。同じ価値観の人が見ると壺にしか見えないのに、違う価値観の人が見ると二人の向き合った顔に見えるという絵です。

ルビンの壺

ワークショップのファシリテーターは、客観的な立場で、自分達が持っているバイアスに気づかせることが重要です。

もし可能であれば、関係取引先などの外部の応援者やカスタマージャーニーマップの作成支援をしている会社に参加をお願いするのも一つの手です。

外部に応援を依頼することが難しい場合は、まず自分たちが同じ会社の文化にいて同じ価値観を共有していることを強く認識することからはじめてみましょう。そうすることでワークショップの方向性が偏った考えや思い込みなのではないかと常に客観的に見つめることができるようになるでしょう。

ペルソナの評価方法

ペルソナが正しくできているのかどうかについては、以下の5つの評価項目があります。

1.現実性
その人は現実社会に存在する身近な人を思い起こさせることができますか?

2.魅力的な人物像
その人は人として魅力的かつ感情移入が容易で真似したくなるような人ですか?

3.ペルソナの目指す価値観とストーリーの一貫性
目指している価値観とストーリーの辻褄は合っていますか?

4.わかりやすさ、使い勝手
読みやすくて、わかりやすい内容になっていますか?

5.視覚的イメージ
人物のイメージに合った適切な写真やイラストを作ることができていますか?

評価項目の①、②、③はペルソナがセグメントの中でインフルエンサーとなってもらうために必要な項目です。

そして、開発されたペルソナを発展的に応用展開させるためには④、⑤で示したように、分かりやすさや視覚的なイメージまで作りこむことが大切です。

この5つの評価項目をもとにブラッシュアップを欠かさないようにしましょう。

スープストックトーキョーの事例

最後にペルソナを活用して、自社のブランドパーソナリティにまで発展させた事例としてスープストックトーキョーをご紹介します。

この事例は、さまざまな媒体で成功事例として既に取り上げていますので、この記事では概要のみを説明させていただきます。

スープストックトーキョーは、創業当時からペルソナ(秋野つゆ)を社内の共通認識として持ち、常に「このお店なら秋野つゆさんが入りやすそうだな」、「このスープは秋野つゆさんがはまりそうだな」と社内での議論の土台となり活用してきました。入社研修でも「秋野つゆ」について学び、社員全員が同じ思いで現場に向かうことができるように準備を整えました。

そういった共通認識が社員の幹を太くして、ゆるぎない「スープストックトーキョー」というブランドが確立されたのだそうです。

ペルソナとブランドパーソナリティは別物です。これまでもご説明してきたように、ペルソナは典型的な顧客像のことです。一方で、ブランドパーソナリティはブランドの擬人化、典型的なスポークスマンというような存在です。

スープストックトーキョーの場合は、秋野つゆさんはブランドパーソナリティでありペルソナではありません。ただ、これからペルソナ作成を行う場合において、秋野つゆさんの事例は多くのヒントを与えてくれます。

ペルソナマーケティングは、「代表的な顧客像を個人のレベルまで深く理解することを目的として、その人のニーズを満たすマーケティング施策を実行するもの」とこれまで説明してきました。

しかし、それは最終ゴールではありません。ペルソナの感動がターゲット全体に影響を及ぼすことを目指しています。つまり、ペルソナがブランドパーソナリティにまで成長してくれれば、大成功と言えるでしょう。

まとめ

社内ワークショップを通して、社内の共通言語にはいつも同じペルソナを登場させましょう。そうやって辛抱強く育ててあげれば、やがて、その人=ペルソナは大きく成長して顧客のインフルエンサーになってくれます。

ペルソナ作成は「誰が顧客か」を明確にしてくれます。そして、そのペルソナの顧客体験を描くものが「カスタマージャーニー」です。途中でもご紹介しましたが、「カスタマージャーニー」についての詳しい解説はこちらの記事をぜひお読みください。

ぜひ、明日から同僚と自分たちの顧客について語り合うことから始めてみましょう!

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