世の中になかった、新しい商品を作りたい競合他社がいない商品を開発して、市場を独占したいビジネスをするなら、こんなことを考えてしまう日もあります。しかし、ライバルがいないブルーオーシャンを見つけるのは簡単ではありません。「あっ」と驚くような、冴え渡るアイデアが必要です。ところが、近年のマーケティングの進歩により、ブルーオーシャンを探し出すフレームワークが発達してきました。そこで今回は、ブルーオーシャンを見つけ出すのに便利な「バリューイノベーション」というフレームワークをご紹介します。既存のビジネスに、4つの質問をするだけで、革新的なビジネスモデルが見つかるかもしれません。実際にブルーオーシャンを見つけた事例もあわせて紹介しますので、ぜひご活用ください。レッドオーシャンから脱出しましょう。※当コンテンツは、webマーケティング支援の専門家であるピクルスが提供しています。▼競合と差をつける「診断活用マーケティング」について動画で解説中!%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FqZXI-tAPyhs%3Fsi%3DsnKeOe6u7gkfLATK%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3Eブルーオーシャンとレッドオーシャンとは? はじめに、ブルーオーシャンとレッドオーシャンについて、軽くご説明します。ブルーオーシャン(青い海)とは、競争相手のいない、まったく手付かずの分野です。真っ青な綺麗な海で、伸び伸びとビジネスができる状態ですね。対してレッドオーシャン(赤い海)は、すでにライバルが多い、競争の激しい分野をいいます。「血みどろ」の戦いが繰り広げられている……そんな状態です。ちなみに、ブルーオーシャン/レッドオーシャンという言葉は、比較的新しい言葉で、日本では2005年に発刊された「ブルー・オーシャン戦略」という本が始まり。日本だけでなく世界中でも読まれ、世界発行部数350万部、43カ国語で出版されたベストセラーです。同書では「レッドオーシャンから脱出して、競合のいないブルーオーシャンを切り開くべきだ」と説きます。 そのために有効な手段として「バリューイノベーション」が紹介されています。バリューイノベーションとは 一言でいうならば、レッドオーシャンから抜け出す方法です。既存のビジネスを改めて、「企業とユーザー、どちらにとっても価値が増す、新しいビジネスを作る」ことをバリューイノベーションといいます。これが注目されるのは、バリューイノベーションが、低コスト化と付加価値の向上を両立できる(と著者が主張している)ことです。たとえば「1000円カット理髪店」は、シャンプーなどを減らして低コスト化しているのに、ユーザーにとっては素早く終わって便利、と価値を向上しています。その結果、日本の理美容業界全体が苦戦している中、1,000円カットは店舗数を大きく増やすことに成功しています。▼理美容業界の市場規模 画像引用:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2690 ▼1,000円カットの店舗数 画像引用:https://toyokeizai.net/articles/-/262095 実はこれまで、低コスト化と付加価値の向上は、両立しないというのが定説でした。 別記事でご紹介したマイケル・ポーターの競争戦略では「差別化(付加価値向上)をする場合、付加価値を生む分の開発費がかさむため、価格は上がらざるを得ない」と主張しています。 記事はこちらから>>3種類の「価格戦略」を事例つきで解説|最適な価格設定でマーケティングを有利に! その定説をひっくり返すのが、バリューイノベーションです。ニッチとブルーオーシャンは同じ?別物? マーケティングの定説「ニッチ戦略」と、ブルーオーシャン戦略は、似て非なるものです。違いを整理しましょう。ニッチ戦略とは、スキマを狙う戦略です。すでに小さい市場があるけれど、小さすぎて採算が合わなかったり、面倒だったりして、他の企業が参入していなかった市場を、あえて狙います。ブルーオーシャン戦略は、誰も気づかなかった(気づいてもやれなかった)市場を狙う戦略です。顧客が大勢おり、ニーズや悩みはたくさんあるけれど、何らかの理由で放置されていた問題を解決します。誰も気がつかなかったか、それを解決するアイデアがなかったか。ニッチ戦略と違い、未開拓の市場を切り開くのがブルーオーシャン戦略ですね。さて、説明はこのあたりにして、次章からブルーオーシャンを見つけ出す「バリューイノベーション」の具体的方法をご説明します。ブルーオーシャンを見つけだす「4つの質問」 ブルーオーシャンを見つけ出すために有効なフレームワークが「バリューイノベーション」です。 バリューイノベーションのやり方は非常にシンプルで、既存のビジネスに以下の4つの質問をします。 低コスト化(減らす・取り除く)と付加価値の向上(増やす・付け加える)を両立する、バリューイノベーションの基本的な考え方です。先に紹介した「1000円カット理髪店」では、このようになります。減らす:待ち時間、ヘアカットの時間、メニュー、価格取り除く:シャンプー、予約システム、スタッフの氏名増やす:システムユニット(1000円カット専用の座席でクローゼットなどをが併設して効率化している)、お客様の回転数付け加える:券売機、エアウォッシャー(髪の毛を吸い取るバキューム)このような工夫をして、低コスト化と、付加価値の向上を両立しています。バリューイノベーションのポイント 「バリューイノベーション、考えてみたけど、思いつかない」というのが、きっと正直なところではないでしょうか。筆者もそうでした。一攫千金の可能性がある、ブルーオーシャンがそう簡単に見つかるものか! という意見は置いておいて……取り除きやすい/付け加えやすいものをいくつかあげてみました。場所時間客層(年齢や性別)提供方法(メニューや選択肢)これらは、バリューイノベーションの「減らす/取り除く/増やす/付け加える」を考えやすいポイントです。さらに、次章のバリューイノベーションの事例もご参考いただきながら、ぜひ新しいビジネスを見つけてみてください。事例で見る「バリューイノベーション」 実際にバリューイノベーションした事例をご紹介します。シルク・ドゥ・ソレイユ 1984年にカナダで発足したサーカス集団、シルク・ドゥ・ソレイユは、バリューイノベーションによって成功した有名な事例です。従来のサーカスより高価格ではありますが、大幅なコストカットを実現。斜陽産業であったサーカスで、大きな成功を収めました。具体的には以下のような工夫があります。減らす:危険性、スリル、ユーモア取り除く:花形パフォーマー、動物ショー、館内販売、複数ショーの同時並行増やす:独自のテント付け加える:テーマ性、快適な観賞環境、演目種類、芸術性の高いダンス注目したいのは、取り除いた部分です。サーカス業界が抱えていた課題を、ごっそり排除しています。報酬が高騰していた外部の花形パフォーマー(サーカス界のスター)を雇わず、自社のパフォーマーを育成しました。象やライオンなどの動物ショーは、飼育費だけでも高額になりますし、動物愛護の観点で社会的な圧力も強くなっていましたが、これも丸ごとカット。このようなコストカットに加えて、サーカスの伝統様式を取り入れつつ、演者の人間性を強調する「新サーカス」と呼ばれるスタイルに変えていきます。大道芸やオペラ、ロック、ミュージカルなどの要素も取り入れ、他のサーカスにはない芸術性・ストーリー性も付け加えました。サーカスと言えばテントですが、シルク・ドゥ・ソレイユはホテルで開催することが多く、観賞環境も快適に。このようにコストカットしつつも、価値を向上させました。既存のサーカスとは競争せず、大人や法人顧客を相手にし、価格も向上。結果、大成功を収めました。シルク・ドゥ・ソレイユが作った、テーマ性・芸術性のもと、レベルの高い自社のパフォーマーによる演技を行うため、ライバルはいません。まさに、ブルーオーシャン、バリューイノベーションです。wii 2006年に任天堂が発売した家庭用ゲーム機です。白くて細長いコントローラーを振り回して遊ぶコンセプトが特徴的でした。そんなwiiですが、実は、ゲーム機としてのマシンスペックは低め。当時はPS3やXbox360など、実写のような綺麗な映像が注目されていたにも関わらず、あえてそれを捨てているのです。これをバリューイノベーションの4つの質問にまとめてみると、このような工夫が隠されています。減らす:マシンスペック、画質の良さ、消費電力取り除く:ハードディスク、DVD再生機能増やす:直感的な操作付け加える:「家族全員に関係するゲーム」というブランディングwiiの開発段階で、当時の任天堂社長の岩田氏は、ゲーム人口が減っていることを知ります。どうすればゲーム人口が増えるか考えた結果、ゲームが家族から嫌われないことを目標に「お母さん至上主義」を掲げました。お母さんが嫌うもの、喜ぶものを考えた結果……既存のゲーム機から、本体を小さく、電気代は安く、価格もずっと抑えたゲーム機になりました。「家族全員に関わりのあるゲーム機」というブランディングも特徴的です。wiiのCMは、お父さんお母さん、お爺ちゃんお婆ちゃんもいっしょにプレイする映像を流していましたね。低コスト化と、付加価値の向上を両立したwiiは、任天堂の据え置きゲーム機のなかで、当時もっとも多く売れました(2017年時点)。(参考資料:イノベーション実現メソッドの有効性に関する考察)ちなみに本記事執筆時点で最新機種であるSwitchは2021年末までの累計販売数がwiiを超えたそうです。工夫と進化を続けて過去の実績を超えていく姿は見習いたいものですね。ヨミトル 手前味噌になりそうですが、ピクルスの提供しているツール「ヨミトル」もバリューイノベーションの事例としてご紹介しましょう。ヨミトルは診断コンテンツ(はい・いいえを選択してユーザごとに適した結果を表示するコンテンツ)をクラウド上で作れる国内初のサービスです。診断コンテンツは、マーケティングではよく使われてきた手法です。ところが自社で作ろうとすると知見が必要だったり、制作会社に依頼するとコストが高かったりで、少しハードルが高いものでした。そこで、既存の診断コンテンツを改良し、次のような工夫を凝らしました。減らす:価格、工数(診断のひながたが用意されているので簡単につくれる)取り除く:高度なデザイン性増やす:ロジックの多彩さ付け加える:クラウド、自分で作れる、自社に設置できる、データ収集できる先に紹介したシルク・ドゥ・ソレイユも、wiiも、未来の技術や革新的な進化があった訳ではありません。既存ビジネスから何かを足し引きして、誰も気づかなかったブルーオーシャンを見つけました。バリューイノベーション×診断コンテンツ 「診断コンテンツって、マーケティングで何の役に立つの?」と思われた方もいるかしれません。診断には様々な用途が考えられますが、バリューイノベーションと組み合わせることも可能です。バリューイノベーションの枠組みは既にお伝えしましたが、枠組みだけで良い商品やサービスを開発するのは難しいでしょう。かのドラッカーはこう言っています。「企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。」「顧客の創造」のために必要なのは、顧客のニーズを理解すること。バリューイノベーションを行う際には、「顧客の生の声」を聞きながら、どこを減らすか、何を付け加えるか、などを検討するのがおすすめです。診断はこの「顧客理解」に役立ちます。たとえばピクルスでは、商談前にお客様に診断をやっていただくことで、事前に課題を掘り下げ、商談でのご提案に活かすという取り組みをしています。お客様としても診断で自分の回答に基づき、客観的に課題を把握した状態で商談に参加されるので、こちらからのご提案が受け入れやすくなるという寸法です。顧客理解は新事業の開発にも、既存事業の改善にも重要であり、マーケティングの根幹と言っても過言ではありません。大げさな言い方になってしまいましたが、診断活用マーケティングについては下記でわかりやすく解説しているので、気になる方は読んでいただければ幸いです。>>【脱しつこい広告】コンテンツマーケの主流は診断コンテンツになるか?その海に魚はいるか? 私は最近ふるさと納税でヘッドホンを注文したのですが、新品のヘッドホンは締め付けが強いため耳が痛くなります。これはヘッドホンによくある悩みでして、だいたいティッシュの空き箱なんかにヘッドホンをつけて、少しずつ側圧を減らしていきます。 多くのヘッドホンユーザーが一度はやるこの作業。もしかしたらブルーオーシャンかもしれません。ヘッドホンを広げる用様の専用器具を開発すれば、大爆発するのでは。と思いましたが、ティッシュの空き箱がひとつあれば事足りるので、おそらく市場は成長しないでしょう。ブルーオーシャンが見つかっても、その市場が成長するかどうかはまた別の話です。バリューイノベーションを考えるとき注意しておきたいポイントですね。やってから後悔しないよう、事前に確認しておくと良いでしょう。先に紹介した事例では、シルク・ドゥ・ソレイユはすでに市場が作られていた状態で新しいサービスを開発し成功したパターンです。任天堂のWiiは、これまでなかった「家族全員に関わりのあるゲーム機」という新たな作り出す形でバリューイノベーションを起こしました。存在しなかった市場を作り出し、大きくしていくのでコストがかかりますね。1,000円カットのようなバリューイノベーションした実店舗は、今までにないスタイルなのでユーザーがハードルを感じます。認知・店舗拡大をどうやって進めていくかが課題です。地域を絞って出店し、認知を拡大していく「ドミナント戦略」が使えるかもポイントになるでしょう。市場分析のフレームワークはこちらの記事でもいくつか解説しています。良ければご参考ください。>>市場分析に役立つ分析手法を解説!役立つ4種類のフレームワークとはまとめ 競合他社がいない市場、ブルーオーシャンを見つけ出す「バリューイノベーション」をご紹介しました。既存ビジネスに、以下4つの質問をして、低コスト化と付加価値の向上を両立できるビジネスを探してみてください。既存のビジネスから「減らすべき」要素は何か?既存のビジネスから「取り除くべき」要素は何か?既存のビジネスに「増やすべき」要素は何か?既存のビジネスに「付け加えるべき」要素は何か?イノベーションは、かのドラッカーが「企業の第二の機能」として定義しているものだったりもします。詳しくは下記をご覧ください。 >>ドラッカーの考えるマーケティング/イノベーションとは?「マネジメント」の書籍から本質を読み解く▼競合と差をつける「診断活用マーケティング」について動画で解説中! %3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FqZXI-tAPyhs%3Fsi%3DNzeI4XD-rIS6Ck1G%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E